基本的にMicrosoft Teamsは必須ではなく、使いたい人だけが使う機能です。まず導入のポイントとしては、ドメインの分離が挙げられます。情報システム部門としては「個人のメールアドレスの命名規則を乱したくない!」、「申請&発行による作業負荷を増加させたくない!」といった声もあり、Microsoft Teamsが生成するメールアドレス(O365グループアドレス)はメインのドメインと一緒にしたくありませんでした。そこでFastTrackの方に相談したところ、自動で発行される分は別のドメインが与えられるという技を紹介いただき、いち早く実現に成功しました。ユーザーがビジネスチャットコミュニケーションを自由に、すぐに開始できる環境を手に入れました。
ビジネスチャットを導入する際のポイントとしては、単なる機能の追加と認識されないよう、利用するビジネスシーンをイメージしてもらうことに注力しました。ユーザーからは「いくつもツールがあって煩わしい」、「使い方を覚えるのは面倒!」といった声もあります。そこで我々は、機能よりも先に、コミュニケーションのイメージを意識してもらうよう誘導し、利用拡大を推進したところ、ユーザーに自分でも使えるという自信を持ってもらえるようになりました。
まずビジネスチャットの概要を説明する際は、(1)時代遅れのあなたへ、(2)超便利なビジネスチャットコミュニケーション、(3)他業種・自社他部門利用事例紹介、という3点で話しました。
(1)の時代遅れのあなたへとはどういうことかと申しますと、ベビーブーマー(1946~1964)、ジェネレーションX(1965~1979)、ミレニアル(1980~1997)、ジェネレーションZ(1998~2020)と、世代によってコミュニケーションツールが異なるということです。弊社は平均年齢が40歳くらいなので、ジェネレーションXの者が大半を占め、その世代は今まではEmailの利用が中心でした。しかしジェネレーションZになると、Emailはもはや使っていません。今回Skypeを導入したので、「新しいことにチャレンジしている」と感じているかたもいましたが、すでにSkypeですら時代遅れです。今の若者のコミュニケーションツールはチャットが主流になっています。この現実を部門の長に対し、「あなたは時代遅れの人ですか?」、「部下はあなたに困っているかもしれません」ということを問いかけます。
続いて(2)の超便利なビジネスチャットコミュニケーションに関してですが、例えば従来のメールなら「佐藤部長、お疲れさまです。田中です」などと入力していましたが、Microsoft Teamsなら不要です。文面もメールのように堅苦しくなく話し言葉で済みますし、しかも絵文字や「いいね」を交えたりすると、少ない文字数でカジュアルに送ることができます。
最初の説明会だけして終わりにしてしまうと、その後なかなかMicrosoft Teamsが浸透していかないので、説明後のフォローアップは不可欠でしょう。最初のトレーニングでカジュアルな会話を実践してみても、いざ私がいなくなると、そういう会話をしなくなるケースは多々あります。そこでユーザーのビジネスチャットに私自身が参加するようにしました。最初は会話に積極的に参加することから始め、その後は機能追加の作成・アドバイス等を行います。
そして最後にユーザーの独り立ちを支援。私がずっとユーザーのビジネスチャットの中に入っているわけにはいきませんので、いつかは離れるようにしています。ではユーザーが独り立ちしているかどうか、どこで見極めるかと申しますと、私なりの目安としては、部下が上司に「いいね」、または絵文字で返信している。機能追加(タブ追加)が2つ以上ある。この2点です。こういうことができていれば、もう問題ないでしょう。