内定辞退をすべて連絡済みの文系は半数止まり

次に、企業側が最も恐れる「内定辞退」について見ていきましょう。6月の段階で複数企業からの内定を取得していた場合、志望度の低い企業への内定辞退連絡はどの程度されているのかを聞いた結果が[図表8]です。
[図表8]志望度の低い企業への内定辞退の状況
「すべての企業に内定辞退を伝えた」とする学生は、文系の56%に対して、理系では73%と7割を超えており、理系のほうが誠実な対応をしている様子がうかがえます。残りの学生は、「一部の企業に(のみ)伝えた」か「まだ(1社も)伝えていない」ということになり、理系で27%、文系に至っては44%と半数近くにも上ります。企業からすれば、6月時点ではまったく安心できる状況にはないことが分かります。

では、「内定を辞退した理由」は何なのでしょうか。文系・理系ともに最多は「より志望度の高い企業から内定を受けた」で、それぞれ74%、78%と7割を優に超え、次点の理由とは50ポイント以上の差をつける、断トツの理由となっています[図表9]
[図表9]内定を辞退した理由(複数回答)
ただ、ある意味、内定辞退としては当たり前の理由ともいえます。次点の理由は、「内定後に再考し、自分に合わないと判断した」で、文系で25%、理系で20%となっています。本来であれば、応募前、あるいは選考中に終えておくべき企業研究を、内定取得後に改めてより詳しく調べた結果、仕事内容や働き方、社風、勤務条件など、自分の志向と違う面を多々発見してしまったということなのでしょう。学生の不勉強を責めるだけでなく、企業側もミスマッチ防止のために最終面接までの段階で、学生の志向とのすり合わせや、疑問・不安の解消の機会を設けることが必要だといえるでしょう。

そのほか、「ネット上や知人から良くない口コミを聞いた」、「給与・待遇が良くなかった」、「残業が多そうだった」などが上位の理由として挙がっています。注目したい項目は「希望する勤務地にならなそうだった」で、文系の7%(9位)に対して理系は11%(5位)とそれを上回り、内定辞退理由の上位になっていることです。文系と比べて理系のほうが採用職種や配属先が明確になっていることが多く、内定段階で勤務地が予想できるケースが多いことも背景にはあるでしょう。また、前掲の[図表4]で見たように、「内定承諾を決めた理由」では、文系の50%に対して理系は56%と、文系より「勤務地」を重視する傾向があり、その裏返しともいえそうです。「企業規模が小さかった」(文系3%、理系6%)も同様でしょう。

「その他」と回答した学生のフリーコメントを見ると、「社風がいまいち分からなかった(文系、中堅私立大)」、「志望する職種ではなかった(文系、中堅私立大)」、「将来性への不安(理系、上位私立大)」、「Webと対面で印象にギャップがあった(文系、その他私立大)」などの理由が挙げられる中、最も多かった理由が「内定承諾期間が短かった」で、「その時点で決定する踏ん切りがつかなかった(理系、旧帝大クラス)」とのことです。

4割近い学生が内定者フォローに効果なしと判定

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