10月1日、2023年4月入社者に向けた採用内定が解禁となりました。ただ、今年は1日が土曜日だったこともあり、大企業の中でも一部の企業に限られ、多くの企業は週明け3日(月)の開催としたようです。
早期選考は本当に有効か
今回も前回に引き続き、6月にHR総研が2023年卒の「楽天みん就」会員を対象に実施した「2023年卒学生の就活動向調査」の中から、「内定」「辞退」に関連したテーマの設問の結果について、学生の本音のフリーコメントも含めて見ていきます。まずは、最終的に入社先として内定承諾をした企業から内定(内々定)をもらった時期について見てみましょう。文系・理系ともに最多は「5月後半」で、文系は24%と約4分の1を占め、内定タイミングとしては明らかなピークを形成しています[図表1]。これに対して理系では、「5月後半」の18%は最多ながらも、2位の「4月後半」15%、3位の「6月前半」14%とそれほど大きな差はなく、ピークといったものは見られず、「4月前半」から「6月前半」にかけてほぼ並んでいる状態になっています。
入社先として内定承諾した企業を就職先候補として初めて認知した時期については、文系と理系で異なる傾向が見られます。理系では、「2021年3月以前」(大学2年生、修士の場合は大学4年生の3月以前)が最多の20%となっており、具体的な就職活動を始める前のきわめて早い段階から就職希望先を決めている学生が多いことがうかがえます[図表2]。同時期を選択した文系は11%と理系の約半分にとどまります。続く「2021年4~6月」も、文系11%に対して理系15%と、理系の割合のほうが多くなっています。特に理系に対しては、必ずしも採用活動という枠組みではなく、早い段階から企業を認知してもらう広報活動が求められているといえそうです。
内定承諾まで「1週間以内」が7割超の理系
では、学生は内定をもらってから内定承諾をするまでにどれくらいの時間をかけているのでしょうか。一度は内定承諾をしながらも、より志望度の高い企業から内定を得たことで、内定辞退を申し出る学生もいますが、ここでは、最終的に入社を決めた内定先についての内定承諾に限定して聞いています。文系・理系ともに最も多いのは「1週間以内」で、文系56%と半数を超え、理系に至っては72%と7割を超えます[図表3]。理系は、推薦制度を利用した応募が一定程度ありますから、文系よりも高い割合となるのも理解できます。
一方、中には「3~4カ月以内」、さらには「半年以内」という学生もわずかながらいます。早期選考・早期内定出しの場合には、内定承諾に要する期間は長くなる傾向があるとはいえ、ここまで長くなる学生の入社意欲には疑問符がつく気がします。寛容な企業の姿勢には頭が下がりますが、一方で、企業側はここまで内定承諾を待つことが果たして必要なのかと考えてしまいます。