企業の人材育成に期待する文系学生

ここからは、既に入社を決めた会社がある学生を対象に、入社予定の会社に対して持っているイメージについて質問した、次の10項目の結果を紹介します。

・社員を大切にしている
・風通しが良い・心理的安全性がある
・育成に力を入れている
・ダイバーシティを推進している
・働きやすい
・仕事が面白い
・経営者・経営理念が魅力的である
・給与(初任給)が高い
・福利厚生が充実している
・チャレンジ精神が旺盛である


まずは「社員を大切にしている」についてです。文系・理系ともに51%と半数以上が「イメージを強く持っている」と回答しています[図表6]。「イメージをやや持っている」を合わせると、どちらも9割以上が「社員を大切にしている」会社だとの認識を持っているようです。入社を決めた会社ですから、納得できる数字ではあるものの、残り1割弱の内定者は「社員を大切にしている」会社であると必ずしも認識していないながら、入社を決めていることになります。それを上回る価値を入社予定の会社に対して見いだしているのでしょうか。
[図表6]入社予定の会社に対して持っているイメージ:社員を大切にしている
「風通しが良い・心理的安全性がある」について聞いたところ、「イメージを強く持っている」割合は文系43%、理系46%で、「社員を大切にしている」より少なくなっています[図表7]。「イメージをやや持っている」との合計でも、文系87%、理系85%と、どちらも9割に達していません。組織の「風通しの良さ」「心理的安全性」について特に意識していない学生も一定数いることをうかがわせます。
[図表7]入社予定の会社に対して持っているイメージ:風通しが良い・心理的安全性がある
次は、「育成に力を入れている」についてです。こちらは文系と理系でやや異なる傾向を示しており、「イメージを強く持っている」と回答した割合は、文系が49%と半数近かったのに対して、理系は40%と文系を9ポイント下回っています[図表8]。理系は業種や職種選択に際して、大学での専攻を生かせることを重視している割合が高いのに対して、文系は専攻との関連性をあまり重視しない傾向があり、入社後に育成してもらえることを期待している面が強いと考えられます。「イメージをやや持っている」との合計では、文系86%、理系84%で差がかなり小さくなっています。
[図表8]入社予定の会社に対して持っているイメージ:育成に力を入れている

ダイバーシティ推進が見えない企業が多い

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