小仁聡氏報告 『テクノロジーは、学習者中心の効果的なコース設計があってこそ活きる』
パフォーマンスラーニングプラットフォームを世界展開するUMUで、ビジネスプロデューサーを務める小仁聡氏。UMUは「ATD2019」のグローバルパートナーだ。今年は、製薬・ライフサイエンス業界に特化した人材開発イベント「LTEN」(Life science Trainers & Educators Network)で出展しており、その2つの経験からHRテクノロジーを活用したグローバルトレンドを紹介した。小仁氏 「ATD」では毎年、人材育成、開発分野で新たな取り組みを実践し、顕著な効果を上げた企業に対して「ATDアワード」の発表を行っています。最近では中国企業が目覚ましい躍進を見せており、今年の発表では残念ながら日本企業の受賞はありませんでした。「ATDアワード」で表彰される成功企業には、「常にROIを追い続けている」という点に加えて、「テクノロジーをいち早く取り入れて」、「データに基づいたPDCAを実践、次の施策のブラッシュアップにつなげている」という共通点があります。
アワードを受賞した企業では、モバイルも含めたテクノロジーツールを活用して、学習者との接触時間を増やし学習定着を促すだけでなく、デジタルで取れた情報(成績データ、学習時間)をプロフェッショナルが分析・洞察して、次年度の人材開発計画に活かしているところが多くあります。分析という観点は非常に重要になってきており、そのためのスペシャリストを配置している企業もあります。
上記事例などを踏まえて、私なりに「ATD2019」を分析すると、仕事の成果(パフォーマンス)向上が人材開発の目的であるという基本方針がますます強化されている中で、ここ数年のテクノロジーを取り入れればよいというブームから、「Human/Softの側面の重要性」、「学習の科学を踏まえたコース設計」(Learning Science)」をベースにした「Technologyの効果的な活用」へと地に足がついた議論がなされているように思います。
その際に、もう一つキーワードになっているのが、「Learners Experience Design(学習者経験のデザイン)」、「Learning Journey(学習の旅)」です。目指す頂きに向けての登り方は学習者によってそれぞれ異なりますが、登るためにはしっかりとしたステップやガイドが大切になります。テクノロジーの登場で、「対面での集合研修」以外にも、「オンラインでの双方向性授業」、「いつでもどこでも取り組める自己学習」という学習シーンが増えました。テクノロジーが中心になるのではなく、ますます「人」を中心にしていくために「テクノロジー」をどのように活用できるのか、これが今後のHRに大切になってきます。
登壇者プロフィール
土屋裕介(つちや ゆうすけ)一般社団法人日本エンゲージメント協会副代表理事
株式会社マイナビ教育研修事業部 開発部 部長
HR Trend Lab 所長
日本人材マネジメント協会(JSHRM) 執行役員
廣瀬沙織(ひろせ さおり)
株式会社ビジネスコンサルタント ESB本部 探索・事業開発グループ主席
日本ポジティブ心理学会理事
小仁 聡(こに さとし)
ユームテクノロジージャパン株式会社 ビジネスプロデューサー