採用苦戦企業は内定辞退率の高さが原因ではない

続いて、採用活動を継続している企業と採用活動を終了した企業の内定辞退率の違いを見てみましょう。内定を出しても内定辞退率が高いがために、内定充足率が高まらず、結果として採用活動を継続せざるを得なくなっているのではないかとも考えられます。ところが、結論から言うとそうではなさそうです。

双方の内定辞退率を比較してみると、採用活動を継続している企業もすでに終了した企業も大差はありません[図表4]。それどころか、内定辞退率のバラつきを見てみると、採用活動を継続している企業のほうが、内定辞退率が低くなっています。例えば辞退率「20~30%未満」では、採用活動継続企業が22%なのに対して、採用活動終了企業は15%、逆にそれよりも辞退率が高い「30~50%未満」はそれぞれ16%と22%となっています。
第82回 内定充足率の差は○○の差
内定充足率の差は、内定辞退率が原因でないとすると、内定出しの数の差ということになります。採用活動継続企業は、採用計画達成のために必要な内定の数を出せていないということです。「応募者が少ない」、「選考中の辞退が多い」、「採用活動の開始が遅かった」などが原因と考えられます。

6月に採用活動を終了した企業が最多

採用活動を終了した企業に、終了した時期を聞いてみたところ、最も多かったのは「6月」で18%、次いで「9月」が17%、「8月」14%と続きました[図表5]。選考解禁の「6月」には多くの大企業で内定ラッシュとなったわけですが、その影響をあまり受けなかった企業が「6月」に採用活動を終了することができたと考えられます。「9月」が多いのは、「10月1日」の内定解禁日を区切りとして、採用計画が充足できていなくても採用活動を終了した企業が多かったためでしょう。
第82回 内定充足率の差は○○の差
「9月」までに採用活動を終了した企業は全体で70%に及びます。「9月」までに採用活動を終了した企業の割合をメーカーと非メーカーで比較すると(図表略)、非メーカー74%に対してメーカーは63%と、非メーカーのほうが終了企業の割合が多くなっています。文系よりも採用しづらい理系採用が多いメーカーのほうが採用に苦戦しているようです。特にメーカーの中小企業では「9月」までに採用活動を終了した企業は50%しかなく、同じ中小企業でも79%の非メーカーとは明暗が分かれています。

女性採用がなかなか進まないメーカー

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