従業員の“感情”を独自のテクノロジーで分析し、
エンゲージメント向上に繋げる

株式会社Emotion Tech
マーケティング部 部長 兼 HR事業責任者
須藤勇人氏

労働人口の減少とともに人手不足が深刻化する昨今、離職防止や生産性の向上は、多くの企業にとって共通の課題となっている。そうした中、重要性がより一層高まっているのが、従業員エンゲージメントを向上させる取り組みだ。とりわけ、従業員の感情を計測・分析し、そこから組織の状態を正確かつリアルタイムに把握する手法は、従業員の定着率を高める上で非常に効果的だろう。そこで今回は、株式会社Emotion Techの須藤勇人氏に、同社が取り組むエンゲージメント向上のためのポイントと、「eNPS」(Employee Net Promoter Score)を軸にした調査から感情データを導くソリューション「Employee Tech」について話を伺った。

なぜエンゲージメントが高まらないのか。
取り組みを阻害する4つの要因とは?

なぜ今、従業員エンゲージメントが注目されているのか、まずはその重要性についてお聞かせください。

須藤氏

端的に言えば、経営指標に大きなインパクトを与えるからです。従業員エンゲージメントを高めることで社員定着率が向上し、採用コストなどの費用削減に繋がるだけでなく、企業収益の増大にも直結をします。例えば、あるファーストフードチェーンでは、離職率が高い店舗に比べ、離職率が低い店舗は利益率が50%も高いという数字が出ています。慢性的な人材不足が深刻化している中、「現在の職場で働きたい」という従業員を増やし、モチベーション高く、長く働いてもらうことは、多くの企業にとって最重要課題と言えるでしょう。エンゲージメントを高めることは、今や企業経営にとって不可欠なのです。

生産性向上や離職率改善に向け、多くの企業がエンゲージメントの取り組みを進めていますが、思うような成果が出ていない企業も少なくありません。うまくいかない要因はどこにあるのでしょうか?

須藤氏

主に4つの要因があると思います。1つは、施策ばかりに目が行ってしまうケース。働き方改革の機運が高まる中、何かしないといけないという危機感に迫られ、施策ベースで物事を考えてしまいがちですが、最初に取り組まないといけないのは、自分たちの組織が今どのような課題を抱えているのかを見極めることです。そこを省いて、形式的にリモートワークや残業時間の削減を推進しても意味がありません。

2つ目は、個々の不満のみにフォーカスしてしまうケースです。従来の従業員満足度調査では不満の声ばかりが集まり、どうしてもその解決に力を注いでしまいます。しかし「上司のパワハラに困っている」など個々人の不満だけに目を向けていては、組織全体の課題解決にはいたりません。

3つ目は、トップダウンで施策がすべて決まってしまうケースです。各部署や組織ごとに課題は異なります。そこに全社的な施策だけを押し付けてしまうと、各部署の課題は永久に解決されないままです。逆にうまくいっている企業は、具体的な施策は各部署に任せ、人事部はエンゲージメントの重要性を浸透させることに注力しています。

4つ目は、取り組みが続かないというケースです。1つ目の要因のように、取り急ぎわかりやすい施策に飛びつき、すぐに効果が出ないと簡単に諦めて単発で終わらせてしまうケースがよく見られます。一つの施策を試しただけでは、エンゲージメントは高まりません。一つのステップが解決したら、また次のステップがあります。すぐに効果が出るかは一端置いておいて、一定期間やり切ることが重要です。

インタビューはまだまだ続きます。

  • 蓄積されたeNPSの知見と独自の感情データ解析技術を活用
  • 従業員の定着率を向上させる「Employee Tech」導入事例
  • 従業員も顧客も会社もすべてが幸せになるために

須藤 勇人 氏
株式会社Emotion Tech
HR 事業責任者

大阪大学法学部卒業後、ソフトバンクグループ人事部門にて人事業務に従事。その後、IoTメディア・モバイルコマース領域にて起業、資金調達の実施などを経て現職。 株式会社Emotion Techにおいては、マーケティング部門及びHR事業領域の責任者として、企業の顧客評価や従業員評価向上を推進。

HRサミット2019での講演情報
G4 9/18(水)14:10-15:20 組織の"エンゲージメント構造"を見抜く、従業員調査×HR Tech
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