主に4つの要因があると思います。1つは、施策ばかりに目が行ってしまうケース。働き方改革の機運が高まる中、何かしないといけないという危機感に迫られ、施策ベースで物事を考えてしまいがちですが、最初に取り組まないといけないのは、自分たちの組織が今どのような課題を抱えているのかを見極めることです。そこを省いて、形式的にリモートワークや残業時間の削減を推進しても意味がありません。
2つ目は、個々の不満のみにフォーカスしてしまうケースです。従来の従業員満足度調査では不満の声ばかりが集まり、どうしてもその解決に力を注いでしまいます。しかし「上司のパワハラに困っている」など個々人の不満だけに目を向けていては、組織全体の課題解決にはいたりません。
3つ目は、トップダウンで施策がすべて決まってしまうケースです。各部署や組織ごとに課題は異なります。そこに全社的な施策だけを押し付けてしまうと、各部署の課題は永久に解決されないままです。逆にうまくいっている企業は、具体的な施策は各部署に任せ、人事部はエンゲージメントの重要性を浸透させることに注力しています。
4つ目は、取り組みが続かないというケースです。1つ目の要因のように、取り急ぎわかりやすい施策に飛びつき、すぐに効果が出ないと簡単に諦めて単発で終わらせてしまうケースがよく見られます。一つの施策を試しただけでは、エンゲージメントは高まりません。一つのステップが解決したら、また次のステップがあります。すぐに効果が出るかは一端置いておいて、一定期間やり切ることが重要です。