6月4日 (水) 10:40 - 11:40(提供:株式会社シェイク)

20代からのリーダーシップ開発が、組織を変える

〜若手の良質な経験を生み出す育成組織づくり〜

犬尾 裕史(イヌオヒロシ)氏

シェイクは『イキイキと働く人が一人でも多く増えてほしい 個人から、会社から、もっと日本を元気にしたい』をミッションとして、「自律型人材」育成サービス、社員育成研修、人事組織コンサルティングを行っています。自律の権威である慶応大学名誉教授 花田光世教先生、神戸大学 金井壽宏教授にご支援いただき、人材育成の本質は何か、どういう組織をつくるべきかに愚直に取り組んでいます。

VUCAな環境で生き残るための若手活用
今年5月に開催されたASTD(世界最大の人材開発組織)で話題となったキーワードは「VUCA(ブーカ)」です。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の略語です。今私たちはVUCAな環境あり、さらにVUCAは促進されます。こんな未来を生き抜くためには、すべての面でChangeしていかねばなりません。  弊社は顧客企業の新入社員研修で毎年、約1万人の新人とお会いします。今の若手は素直で理解力が高く、デジタルネイティブでITに強い。情報が豊富で新たな価値観を持ち、仲間意識やつながりをもち、社会貢献意欲も高いです。企業がどんどん変化を起こすためには、彼らのピュアな思考力を生かしていくのが効果的だと思います。「今の若者を活かせる企業が生き残る」とすら言われます。  しかし企業は若手社員の力を活かせているでしょうか。彼らは非常に能力が高いので、関わり次第で圧倒的に成果を出しますが、「今までこういうものだったから」「会社ってこういうものだよ」という発言が、若手にあきらめ感を持たせてしまう。彼らが「この会社、窮屈だな」と思うと、離職率が上がってしまうのです。
若手社員へのリーダーシップ育成
若手社員がリーダーシップを発揮できない要因の第一位は「自信のなさ」でした。これを解決すると、一気にパフォーマンスが向上します。コルブ氏の「経験学習サイクル」では、経験→内省→持論化→実践を繰り返すことで自信を持てるようになるわけですが、概念的にわかっていても、実際に回せている企業は非常に少ない。毎日忙しいので振り返らずに同じミスを何度もする、アイデアは出すが実践しない、などで日常業務で自信がつかない。 経験学習サイクルを回すには、次の2つが必要です。1つは経験を学びに変えるための渡し方とサポートの仕方、もう1つはコミュニケーションの質を向上する。これらの実践により若手のパフォーマンスがどんどん発揮されます。
経験を学びに繋げるには
経験が学びにつながらないのは、言われたことをただ頑張る、そこそこのレベルでこなせる仕事をする、やりっぱなしで振り返る機会がない、全て自己完結してしまう、上司が手助けをし過ぎている、仕事の意味・意義を理解していない、などです。 人がどのように成長するかという花田先生のストレッチング理論では、日々の仕事のなかでの成長と、試練とチャレンジで成長するものがあります。重要なのは試練とチャレンジの機会です。
では、若手にどのような経験をさせるべきでしょうか。金井先生は次のように言っています。異動、海外勤務、新規事業などのゼロからの立ち上げ、低迷している部門や事業の立て直し、プロジェクトチームへの参画、権限の拡大といったものです。
ある会社の若手社員の調査では「自分なりに工夫したことが価値につながった」が最も学びに繋がっていました。経験を学びに繋げるには、単なる成果ではなく「自分なりの工夫」が重要です。
若者が成長する職場と成長しない職場の違いは何か。成長に特化した弊社の成長支援職場診断では、
1.日常、頑張っているねという「ハゲマシ支援」、
2.仕事のやり方をサポートする「アドバイス支援」、
3.振り返りの場を作る「キヅキ支援」、
4.期待や目標を伝えて新たな経験を与える「ストレッチ支援」の4つを分析します。

成長する職場は、評価して能力を伝える(ストレッチ)、自分と向き合わせる(キヅキ)、振り返りの機会を設ける(キヅキ)、事実に基づいて褒める(キヅキ)、日常の行動を観察する(キヅキ)などの、キヅキ支援、ストレッチ支援が肝になっています。ハゲマシ支援とアドバイス支援はあまり差はありませんでした。
経験から何を学ぶかには、大きく4つあります。1つ目は俯瞰です。この仕事はどういう意味があるのか、会社にとってこういう意味がある、この部署とあの部署はどういう関係か、などの組織構造、関係者の視点を学ばせる。2つ目は可能性です。「ここまでできた」という成長実感と、「まだまだ成長できる」という成長期待を気づかせる。3つ目は動機。この業務をどのように意味づけるか。若手は意味づけの力が弱いので、自分で意味づけることを学ばせる。4つ目は姿勢。若手は責任感、やりきるという所が弱いです。思いつきでやって、そのままになってしまう。やると言ったら最後までやらせることです。自ら一歩踏み出す、自分で考えることを学ばせます。 経験を学びに繋げるための経験の渡し方について。若手社員には、自分にとっての意味・意義を繋げて自ら決断し、一歩を踏み出させる。上司は仕事の意味・意義や期待を伝えて、「これを踏まえて君はどう思う?」と聞いてあげてください。あとは、「ならでは感」の工夫を促して、最後に本人から一歩を踏み出させる。本人の決断でやらせることが重要です。 経験のサポートは、「これができるようになった!」という良い手応え、達成感を積み重ねることです。若手は「これ、やらない方がいいんじゃないですか?」と平気で言ってきます。若いうちにそういう癖がつくと一生抜けません。 そして定期的に振り返る機会を提供します。面談の場では、事実に基づく一貫性のあるフィードバックをして、自分と向き合わせます。上司はむやみに手伝わない。「これ、危ないな」と思って上司が全部やってしまうのは最悪で、本人にやりきらせることが重要です。
レポートはまだ続きます。気になる内容の続きはダウンロードしてお楽しみください。

  • コミュニケーションの質を向上する 〜量から質の時代への転換〜
  • 一人の人間として、本気で向き合えているのだろうか? 
  • 若手の良質な経験を生み出す育成組織をどう作るか

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提供:株式会社シェイク

講師紹介

  • 犬尾 裕史(イヌオヒロシ)

    株式会社シェイク 取締役
    犬尾 裕史(イヌオヒロシ)氏

    1998年 大手ホテル会社に入社。現場でのサービス業務経験を経て、人事部にて採用・社員育成や制度設計業務に従事。その後、2002年 大手コンサルタント会社にて、新規事業の立ち上げ、経営支援・戦略・営業・セールスプロモーションなどを通じて、中小企業の経営者とともに多くの組織改革を遂行。 2006年 株式会社シェイクに入社。お客様の課題を引き出していくソリューション提案を通じ、人材育成という側面から数多くの企業の課題解決を行う。大手メーカー・大手インフラ企業など数多くの企業において、組織変革の実績を持つ。新人社員から管理職の育成おいて、多数の登壇の実績を持ち、これまでに人材育成でかかわった受講者は10000人超。