6月3日 (火) 14:50 - 15:50(提供:株式会社シェイク)
変革型人材を創るリーダーシップ育成法
〜強い個人になるために早期に経験すべきこと〜
「御社では、現社員の何%の方が、変革型人材と言えますか?」 企業が社員に求めることとして、自ら考え、自分の意志を持って成功を積んでいくという“主体的成果創造行動”があります。しかしながら、昨今の若手育成の潮流は「組織社会化」教育に偏重しているのではないでしょうか。型を覚えることも非常に重要ですが、型にはまりすぎた思考や行動が完全に習慣付くと新たな価値が生まれにくい状況が出来上がります。 本講演では、「組織社会化させるための育成ではなく、個性をとがらせ自ら価値を創造できる人材の育成」をメインテーマに、具体的な事例を交え、強い個人の育て方について講演いたします。
- 「VUCA(ブーカ)」の時代に求められるリーダーシップとは
- 私はシェイクという会社で、リーダーシップ開発をはじめ、企業の人材育成に携わっていますが、今日は、これまで私たちが実践してきたことと、そのベースとなっている理論、調査データも絡めながら話を進めたいと思います。 また、今日の講演では、みなさんの周りの方々と対話をしていただく機会があります。ぜひ、対話を通じて考えたり気づいたりしていただきたいと思います。さっそく、周りの2、3名で自己紹介をしてください。そして、「いまの時代に求められるのは、どのようなリーダーシップか」というテーマについて、2?3分、対話をしてください。 ……では、まずこのテーマから話を始めましょう。私は、今年の5月、ワシントンで開催された人材関連分野における世界最大級組織ASTD(American Society for Training & Development=米国人材開発機構)のカンファレンスに参加してきました。4日間で400ほどのセッションが行われますが、いくつかあった今年のキーワードのひとつがVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったVUCA(ブーカ)というものでした。VUCAの時代に勝ち残るのはどのような企業で、人材育成はどうあるべきかというように、いろいろなセッションでこのキーワードが頻出していました。 実際、いまがこのように複雑な変化の時代であることを踏まえると、求められるリーダーシップ開発も変わります。ビジネスモデルが確立し、答えが明確にある環境においては、一部の人がリーダーシップを発揮すればよかったのですが、現在のように現場で変化が起き、変化し続けることが必要な環境においては、一人ひとりがリーダーシップを発揮することが求められるのです。
- 「真面目な作業者」から「変革型リーダーシップ」へどう変われるか
- 一人ひとりが変化に対応し、組織を変革に導くリーダーシップを発揮する。これが目指すべき姿ですが、企業の現状はどうでしょうか。弊社のセミナーにおいでいただいた人事の方々にお聞きすると、課題があると感じておられる場合が多いようです。 私自身も、日頃、人材育成をお手伝いする中で多くの企業の社員の方々とお会いしていますが、言われたことをこなし、指示通りに動く「真面目な作業者」といったタイプの方々が非常に多いと感じています。しかし、いまの時代に求められるのは、組織を変革に導く「変革型リーダーシップ」を備えた人材です。「真面目な作業者」から「変革型リーダーシップ」を発揮する人材へ、どうすれば変わっていけるのかということが課題です。 企業における現場社員のリーダーシップ発揮の実態について、弊社では20代・30代・40代・50代の各年代の方々200名ほどを対象に調査を行いました。その結果、「自社で自分自身がリーダーシップを発揮していると思いますか」という問いにイエスと回答したのは、どの年代でも15%ほどでした。逆に言えば、どの年代でも85%ほどの人はリーダーシップを発揮していないということです。残念ですが、これが実態です。 さらに、この調査データでは、年次が上がるにつれて、リーダーシップを発揮することをあきらめていく傾向も出ています。ここから言えるのは、リーダーシップ開発はできるだけ早期に行う方が有効だということです。 また、リーダーシップを発揮できている社員は、過去に、新規事業や新市場をゼロから立ち上げる、海外勤務をするなど、「一皮むけた経験」をしているとよくいわれており、それを裏付ける調査研究も行われています。とはいえ、いまは、国内市場の飽和、ビジネスモデルの変化などにより、そうした経験を一人ひとりに付与してリーダーシップを開発することが非常に難しい時代です。
- 「小さなリーダーシップ」が「変革型リーダーシップ」への第一歩
- では、どうすれば「真面目な作業者」から「変革型リーダーシップ」を発揮する人材へと移行させることができるのでしょうか。実は、この移行は、次のような段階を経て実現することができます。
■ 指示通りに動く「真面目な作業者」
キーとなるのは「小さなリーダーシップ」です。「真面目な作業者」と「小さなリーダーシップ」を発揮する人の違いをご説明しましょう。たとえば、職場の雰囲気が良くないと問題意識を持ったとき、前者は職場の雰囲気に合わせ、職場の雰囲気について愚痴をこぼすだけで、結局、職場は変わりません。一方、後者は自ら大きな声であいさつし、これを毎日続ける中で賛同する人が現れ、職場の雰囲気が明るく変わります。 初めはちょっとした行動の違いです。ですが、これを第一歩として、人へ、チームへ、組織へと、及ぼす影響力の範囲を拡大し、影響力の大きさも、影響を与えることから変化を起こすこと、変化を導くことへと増大させていくことによって、やがては変革型リーダーシップを発揮できるようになるのです。 この小さなリーダーシップの重要性を裏付ける理論のひとつは、自己効力感を高める上で最も効果的なのは制御体験であるというカナダ人心理学者バンデューラの説です。制御体験は成功体験と言い替えてもいいかもしれません。実際に実践して達成した体験が、自己効力感、つまり「私はやれるんだ」という気持ちを高めるというものです。 では、また、近くの方と対話をしていただきたいと思います。みなさんの会社の中に小さなリーダーシップを発揮している人はいますか? それはどのようなリーダーシップでしょうか? ご自分自身はいかがでしょうか?
↓
■ 組織に影響を与える「小さなリーダーシップ」
↓
■ 組織を変革に導く「変革型リーダーシップ」
- 「認知転換から始まるリーダーシップ開発の3ステップ
- リーダーシップの範囲を拡大するには職場のあり方と「志」が重要
提供:株式会社シェイク
講師紹介
-
株式会社シェイク 代表取締役社長
吉田実(ヨシダミノル)氏大阪大学基礎工学部卒。住友商事株式会社に入社。 2003年株式会社シェイクに入社。営業統括責任者として、人材育成事業の立ち上げ、拡大に従事。売上規模を3倍に拡大させる。2006年よりファシリテーターとして登壇し、実績は新入社員から若手・中堅社員、管理職層まで多岐にわたり、育成に携わった企業は200社以上、人数は10,000人を超える。 2009年9月より、代表取締役社長に就任。20代〜30代におけるリーダーシップ開発の専門家として、日経ビジネス、東洋経済をはじめとするメディアでも広く取り上げられている。著書に「「新・ぶら下がり社員」症候群(東洋経済新報社)」 「辞めません。でも、頑張りません。(中経の文庫)」がある。