「グローバルモビリティ(global-mobility)」とは、国際間人事異動のことで、日本企業のグローバル化に伴い、さまざまな背景を持つ人材の国境を越えた異動や配置が増えています。
日本企業のグローバル化が進む中で、その拠点での雇用人材は、現地人が多く、いかにそれらの人材の能力をのばせるか、グローバル競争が進む中で、いかに円滑にかつ効率よく処遇などの整備ができるかが、企業成長のカギとなっています。外国と日本、国境を分けることなく、いい人材にはどんどん活躍してもらおうという考えです。
グローバルな視点でとらえ、かつローカル文化への理解も必要で、既にグローバルな企業文化をもつ大手が、CEOに外国人を採用するなど、グローバルモビリティの視点での人材育成が急務となっています。
グローバルな人材で求められる資質は、(1)未知の世界に飛び込める行動力(2)最後までやり抜くタフネスさ(3)自分の頭で考え、課題を解決する能力であり、知識の専門性はさることながら、どの国へ行っても活躍できる人材を日本だけではなく、世界単位で見ていこうということです。
同時に、慣習の違いや、労務手続きの面でのトラブルも増えています。せっかくの人材もこの問題で、企業から離れて行くというケースも少なくありません。この問題から、日本では、グローバルモビリティにおいての、処遇・設計などの経営企画面から、給与計算や税金関係、評価基準、許可業務など人事関連にも対応でき、かつ海外勤務経験があり、慣習の違いにも対応できるグローバルモビリティ担当を用意してリスク回避しています。
この問題は意外と根深く、自社だけでは対応できないとして、グローバルモビリティ専門の会社に依頼をして、優秀な人材を得る企業もあります。海外では、グローバルモビリティスペシャリストを抱えた専門会社が当然のようにあり、企業と人材の橋渡しの他、グローバルモビリティ対応業務の教育などもしています。
企業内で人材のグローバル化が進むと、経営自体の整備も必要になっていきます。公用語は英語になり、日本企業であっても、採用は国籍を問わないので、さまざまな人種が存在します。よって慣習や文化がさまざまなので、強い企業文化や理念をもって、組織を束ねなければなりません。それには、それに対応するマネージャーやリーダーが必要になってきます。そういったトップクラスのグローバルモビリティのための育成プログラムの用意も必要になってくるのです。
単に企業のグローバル化といえども、海外の優秀な人材を雇う事だけを考えていると、信頼を落とし、顧客離れなどから、業績の悪化につながりかねないので、周到な用意が必要になってきます。