「直近効果」とは、対象期間全体を通して評価するのではなく、直近の事柄に引っ張られて評価を歪めてしまうことをいいます。特定の事象に評価が引っ張られてしまう「ハロー効果」の一種で、人事評価時に注意すべきバイアスのひとつです。「近接誤差」や「直近誤差」とも呼ばれています。

「直近効果」が生じる原因としては、評価するための情報が僅少であることや、評価の対象期間が明確でないこと、日頃の部下の行動を把握できていないことが挙がります。とりわけ、人事評価のタイミングになってから、一気に過去の部下の行動を振り返ろうとすると起きてしまいがちです。

人間は最後に起きた現象、最後に与えられた情報が印象に残りやすい特性を持っています。「自分は記憶力が良いから」と思い込んだり、「逐一メモを残すのは面倒だ」と億劫になったりせず、普段から被評価者の行動を把握して評価材料を記録しておくことが、直近効果に惑わされないためには重要になります。