「産業医」とは、企業などで従業員の健康管理に関して指導・助言をする医師のことです。労働安全衛生法により、一定の規模の事業場にはこの産業医の選任が義務付けられています。
労働者数50人以上 3,000人以下の規模の事業場では1名以上、労働者数3,001人以上の規模の事業場では2名以上を専任しなくてなりません。
また、常時1,000人以上の労働者を使用する事業場と、労働安全衛生規則第13条第1項第2号で定められた業務(多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所における業務、多量の低温物体を取り扱う業務および著しく寒冷な場所における業務、ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務など)に常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場専属の産業医を選任しなければなりません。
産業医は医師の資格を有するだけでは不十分で、法律で定められた以下の要件のどれかを満たしている必要があります。
(1)労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者。
(2)産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者で、その大学が行う実習を履修した者。
(3)労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生である者。
(4)学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授または講師(常勤勤務する者に限る。)の職にあり、またはあった者。
(5)前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者。
また、産業医の職務は、法律で以下のように定められています。
(1)健康診断及び面接指導などの実施ならびにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
(2)作業環境の維持管理に関すること。
(3)作業の管理に関すること。
(4)労働者の健康管理に関すること。
(5)健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
(6)衛生教育に関すること。
(7)労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。
これらに加え、産業医の職場巡視等について、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法または衛生状態に有害なおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない、とも定められています。