福井県の企業における短時間正社員制度導入事例

短時間正社員のニーズの高まりを受け、実際に短時間正社員制度を導入する企業も出てきている。

通信インフラを取り扱うWebサービスを提供する、株式会社ALL CONNECTは、2018年3月から、短時間正社員の採用を開始した。短時間正社員は、勤務時間を4時間以上8時間未満の間で選択でき、柔軟性の高い働き方を実現できる。給与は、フルタイム正社員の給与をベースに算出。通勤手当や扶養手当といった諸手当が支給され、各種社会保険にも加入できるほか、昇格・賞与の対象となる。2019年2月期までに10名の採用が目指されている。

導入背景としては、同社における短時間正社員のニーズの高まりが挙げられる。同社ではこれまで、産休・育休から復帰した場合に限り、時短正社員(1日6時間~8時間未満、週5日勤務)として働くことを認めており、その復帰率は94.7%にも上っていたという。

このことから、「短時間でも正社員として働ける職場は価値がある」との考えで、産休・育休取得者以外にも短時間正社員の適用を拡大することに踏み切った。同時に、福井県において、共働き世帯の割合が全国平均の47.6%より11.0ポイント高い58.6%という数値であること(「平成27年度国勢調査 就業状態等基本集計」福井県結果の概要)、福井県民女性の正規職員・従業員の割合が、全国平均より8.4ポイント高い53.9%(同上)となっていることも、短時間正社員制度導入の背景にあったという。

新たな雇用を提供することで、女性活躍を推進するとともに、多くの働く人のワークライフバランスを実現することを目指している。また、人手不足が深刻化するなかで、企業が優秀な人材を確保することもねらいだ。

同社は従業員規模500人未満の中小企業。都市部の大企業だけでなく、こうした地方中小企業でも先進的な取り組みが行われていることは注目に値するだろう。

今回の調査では、「家事や育児・子育てをしながら、正社員という保証された立場で、やりがいのある業務に携わり、キャリアを積みたい」という、働く主婦の本音が浮き彫りになった。さまざまな働き方を認めるダイバーシティは、誰もが働きやすい社会の実現につながるだけでなく、企業にとっても人手不足解消のカギになる。今後、国内企業の多くが、就業規則をはじめとした制度を一刻も早く整備し、短時間正社員制度を導入することが期待される。
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