株式会社リクルートは2024年5月30日、「新入社員の入社後の配属」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2024年2月16日~19日で、全国の従業員規模100人以上かつ24卒新入社員(正社員)が1人以上いる企業に勤める、新卒採用に関わる人事担当者812人から回答を得ている。本調査から、新入社員の初任配属範囲や配属先伝達時期、新入社員の配属に関する制度変更の実施有無などが明らかになった。
新入社員の“入社後の配属”に関する制度変更・見直しの実施割合は低く。早期離職防止のために取り組むべきこととは

新入社員の初期配属範囲は「全国」が34.5%で最多

24卒の新入社員が入社して2ヵ月。新人研修期間も終わり、多くの新入社員が初期配属先に就くころだろう。入社後の配属先の決め方等は企業によって様々であるが、人事担当者から見た実態はどのようになっているのだろうか。なお、本記事では従業員数1,000人以上を“大企業”、300~999人を“中堅企業”、100~299人を“中小企業”とする。

リクルートは、「国内の拠点範囲」および「新入社員の初任配属範囲」について尋ねた。まず「拠点範囲」について企業規模別に見ていくと、「全国」とした大企業は62.4%であるのに対し、中小企業は13.1%だった。

また、「新入社員の初任配属範囲」についても、「拠点範囲」とほとんど同様の傾向が見られた。
新入社員の初任配属範囲

新入社員への配属先伝達時期は「入社時以降」が「内定承諾前」より多い傾向

次に同社は、「新入社員への配属先伝達時期」および「配属先伝達時期ごとの新入社員の割合」について調査した。すると、「新入社員への配属先伝達時期」については、いずれの従業員規模でも「内定承諾後~入社前」とする企業の割合が最も高かった。

また、「配属先伝達時期ごとの新入社員の割合」については、「内定承諾前」(募集時、選考時、内々定・内定時、内々定・内定後~内定承諾前の合計)が34.6%、「入社時以降」(入社時、入社後の合計)が41.4%となり、入社後の方がわずかに高い結果となった。
新入社員への配属先伝達時期

「新入社員の配属に関する制度変更」の必要性を実感も、実施割合は低い結果に

続いて同社は、「新入社員の配属に関する制度変更、やり方の見直し」について、「必要性を感じているか」および「できているか」をそれぞれ尋ねた。すると、「必要性を感じている」(強く感じている、やや感じているの合計)とする企業は全体で51.8%となった。また、これについて従業員規模別に見ていくと、従業員規模の大きい企業ほど「感じている」とする割合が高かった。

一方、「できているか」との問いでは、必要性を感じている企業のうち約半数の50.4%が「できていない」(できていない、あまりできていないの合計)している現状が分かった。
新入社員の配属に関する制度変更、やり方の見直し

“新入社員の配属のやり方”を見直しできている企業の方が、取組み実施割合も高く

また、同社は“新入社員の配属のやり方”の見直し状況別に、「具体的な取り組み実施状況」および「配属に関する実施方針」を尋ねた。すると、「具体的な取り組み実施状況」については、どの取り組みも見直しできている企業の方が実施割合が高い結果となった。特に、「本人のキャリアや成長の観点での配置理由の説明」、「配置理由の説明」、「配置の納得感の確認」などについては、実施割合の差が大きくなっているようだ。

他方で「実施方針」については、人員充足の重視は見直し状況に関わらず高い割合となったものの、本人の希望や事情の重視など、他の項目では差が目立つ傾向にあった。
具体的な取り組み実施状況
調査結果では、新入社員の初期配属範囲としては「全国」とする企業がおよそ3分の1で最多となっていた。また、「新入社員の配属に関する制度変更、やり方の見直し」の必要性を感じている企業のうち約半数が、実際に見直しをできていない状況も浮き彫りとなった。早期離職を防止する観点でも、新入社員の初期配属について、企業は慎重に進めたいところだ。

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