株式会社アカリクは2023年12月13日、「大企業のインターンシップに関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2023年10月31日~11月1日で、大企業(従業員数1,000名以上)に勤務しており、25卒生向けのサマーインターンシップに携わった人事担当者100名から回答を得ている。本調査から、インターンシップの定義変更に関する認識度やサマーインターンシップ時の形式変更率などが明らかとなった。
“インターンシップの定義変更”を把握できている? 人事担当者の8割以上が「新定義」を認識も「よく理解している」は半数未満に

産学協議会がまとめたインターンシップの新しい定義を「よく理解」は半数未満に

2022年6月、文科省・厚労省・経産省の「三省合意」により、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」が改正され、一定基準を満たしたインターンシップで企業が得た学生情報は、広報活動や採用選考活動に使用できると変更された。

また、学生のキャリア形成支援に関する取り組みを4つの区分に分け(タイプ1:「オープン・カンパニー」、タイプ2:「キャリア教育」、タイプ3:「汎用型能力・専門活用型インターンシップ」、タイプ4:「高度専門型インターンシップ」)、タイプ3とタイプ4がインターンシップであると定義された

この改正は2025年卒業予定の学生(以下、25卒生)から適用されるが、大企業はインターンシップの新定義について、どの程度把握しているのだろうか。

はじめにアカリクは、「産学協議会がインターンシップの新しい定義について取りまとめ、発表したことを知っているか」と尋ねた。すると、「内容までよく理解している」が46%と最も多く、以下、「聞いたことはあるが十分に理解できていない」が37%、「聞いたこともないし理解もしていない」が12%で続いた。
産学協議会がインターンシップの新しい定義をまとめ、発表したことを知っているか

自社の就活生向けプログラムが“新設の4区分に当てはまる”と約8割が「把握」

次に、前設問で「内容までよく理解している」および「聞いたことはあるが十分に理解できていない」と回答した人に、「勤め先で夏期に開催した就活生向けのプログラムが、定義変更によって新たにできた4つの区分のうち、どれに当てはまるか把握できているか」と質問したところ、「把握できている」が77.1%、「把握できていない」が18.1%だった。
勤め先で夏期に開催した就活生向けのプログラムが、定義変更によって新たにできた4つの区分のうちどれに当てはまるか把握できているか

7割以上が「要件を満たしたインターンシップで得られた学生情報のみ採用活動に使える」と認識

続いて同社は全員を対象に、“5日間以上の就業体験を含む”、“長期休暇期間に実施する”など「いくつかの要件を満たしたインターンシップで得られた学生情報のみが、25卒生からの採用活動に使えると知っているか」と質問した。すると、「知っている」が74%、「知らない」が20%となった。
いくつかの要件を満たしたインターンシップで得られた学生情報のみが25卒生からの採用活動に使えると知っているか

約8割がサマーインターンシップなどの形式を「変更して実施した」と回答

次いで、最初の設問(インターンシップの新しい定義について取りまとめ、発表したことを知っているか)に対し「内容までよく理解している」とした人に、「勤め先では、今年度に実施したサマーインターンシップなどの形式を、産学協議会により定められた4類型のいずれかに当てはまるように変更したか」と質問した。その結果、「変更して実施した」が78.3%、「変更していない」が19.6%だった。
サマーインターンシップなどの形式を、定められた4類型のいずれかに当てはまるよう、変更したか

形式変更した企業の7割以上が「新たな要件を満たしたインターンシップを追加」

そこで、「変更して実施した」とした人に対して「勤め先では、インターンシップの定義変更に伴い、具体的にどのような形式で夏期の就活生向けプログラムを実施したか」を質問した。すると、「新たに産学協議会が示した要件を満たしたインターンシップを追加した」が72.2%、次いで「既存の就業体験プログラムの実施期間を変更した」が27.8%となった。
勤め先では、インターンシップの定義変更に伴い、具体的にどのような形式で夏期の就活生向けプログラムを実施したか

就活生向けプログラムの課題は「担当者不足」が最多、次いで「受け入れ体制の未整備」

最後に同社は、最初の設問で「内容までよく理解している」および「聞いたことはあるが十分に理解できていない」とした人に、「インターンシップの定義変更に伴う就活生向けプログラムの形式変更や新しいプログラムの立ち上げを進める上で、課題となっていること」を聞いた。すると、「担当者が不足している」(50.6%)が最多で、以下、「就活生を受け入れる体制が整っていない」(39.8%)、「新しくプログラムを企画する時間がない」(38.6%)が続いた。

また、同質問について自由回答で尋ねたところ、「社内のコミットメントが得られない」、「いいアイデアが思いつかない」といった声が寄せられたとのことだ。
インターンシップの定義変更に伴う就活生向けプログラムの形式変更や新しいプログラムの立ち上げを進める上で、課題となっていること
本調査結果から、インターンシップの新しい定義について8割以上が「変更」を認識しているが、「内容までよく理解している」とした人事担当者は半数に満たず、「聞いたことはあるが十分に理解できていない」との回答も4割程度であることがわかった。また、インターンシップの定義変更を受け、今年度からサマーインターンシップなどの形式を変更した企業は8割に迫り、そのうち7割以上が、「新要件を満たしたインターンシップを追加した」と回答した。一方で、定義変更の認知後もインターンシップの形式を変更していない企業は2割程度であると示された。新要件に対応したインターンシップの実施は、自社の魅力や仕事のやりがいなどを学生に伝えるよい機会であるとも捉えられるため、企業は前向きに内容を検討していきたい。



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