2021年(令和3年)4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」により、“70歳まで就業機会を確保する”との努力義務が企業に課されるようになった。「人生100年時代」という考えが広がり、65歳以上の就労者は増え続けている。また、本人が希望すれば「70歳定年」も実現することが可能であるなど、社会におけるシニア世代の受け皿が徐々に整えられている中で、企業のシニア活用は今後どうなっていくのだろうか? 本記事では、HRプロで取り上げたニュースをピックアップして紹介する。
「70歳定年義務化」を見据えたいま、ミドルシニア世代の意識とは?【ニュースまとめ】

「70代以降も働きたい」と考えるミドルシニアの割合は?

株式会社リクルートマネジメントソリューションズは2023年12月、「一般社員の会社・職場・仕事に関する意識調査」の中から、「70代以降に働くこと」についての結果を発表した。調査期間は2023年7月14日~16日で、回答者はミドルシニア世代の40~59歳の一般社員、主任・係長クラスの正社員(3,708名)となる。

調査結果によると、「何歳まで働きたいか?」と尋ねたところ、「70歳以上」と答えたのは全体の14.2%だった。最多となったのは「60~69歳」(49.4%)で約半数と、「70代以降も働きたい」と考えるビジネスパーソンはまだまだそれほど多くないという実態が伺えた。

●ニュースを読む:70代以降も働きたい人は“14.2%”。「モチベーション・リソース」がシニア世代の労働意欲に】

出典:「一般社員の会社・職場・仕事に関する意識調査」(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)

何歳まで働きたいと思いますか

<65歳までの雇用義務化スタート>シニア世代のキャリアプラン/ライフプラン意識とは

次に、株式会社シーオーメディカルが50歳~65歳のシニア世代を対象に実施した、「仕事の意識に関するアンケート」の結果を紹介する。同社が「50歳以降の仕事に求めていること」を聞いたところ、1位は「やりがいが感じられる仕事」(45%)、2位は「プライベートな時間が確保できる仕事」(44%)、3位は「自分のスキルを活かせる仕事」(30%)となった。一方で、「給与の額」は26%と4位に留まった。

同調査では、他にも「50歳以降のシニア世代のうち約6割が『仕事のモチベーションの低下』を実感している」との結果も出ており、若手に限らずシニアも働く上での「やりがい」を重視しているとわかる。

●ニュースを読む:シニア社員の約6割が「仕事のモチベーション低下」を実感。一方、“副業”や“越境学習”への意欲を持つ人も

出典:「仕事の意識に関するアンケート」(株式会社シーオーメディカル)

50歳以降の仕事に求めていること

<組織の中でベテランの力を活かす>50代以上の社員に年下上司が期待すること

サイボウズ株式会社は2023年7月18日、「年上の部下へのマネジメント」に関する意識調査の結果を発表した。調査期間は2023年5月24日~29日で、年上の部下がいる30~50代のミドルマネージャー(課長~部長職相当)1,500名と、50代で年下の上司がいる正社員(職位不問)の1,000名から回答を得た。調査では、マネジメントする側/される側それぞれの意識を確認している。

ここでは、「年上の部下(50代以上)に関する意見」を、“年下の上司”に尋ねた結果を紹介する。すると、「若い人の手本となるべき」(80.8%)、「所属チームのパフォーマンス発揮の主力となるべき」(74.6%)、「あれこれ指導しなくても自走して成果を出すべき」(73.2%)、「上司に適切な助言やアドバイスをするべき」(62.7%)となっていた。これらの回答から、年下の上司側がベテランの50代以上の社員の実力に対して抱く期待はかなり高いとわかる。経験豊富なミドルシニアだからこそ、能力をいかんなく発揮して、組織・チームに関わってほしいと考えているのだろう。

●ニュースを読む: “年下の上司”の苦労とは? “年上の部下のマネジメント”は敬語よりも「傾聴」や「関係づくり」が重要と双方が認識

出典:「年上の部下へのマネジメントに関する意識調査」(サイボウズ株式会社)

年下の部下に関する意見
労働人口の減少が日本社会全体の課題となる中で、シニア人材は企業にとって欠かせない労働力であり、今後もその重要性は増していくだろう。既に、定年延長や再雇用制度を導入し、シニア活用を積極化させている企業もある。一方で、実際に働くシニア層のモチベーションの低下や、シニアになっても活き活きと働くためのキャリアプランが描けないなど、課題もまだまだ多いようだ。アクティブシニアの活躍を積極的支援できる組織を目指し、人事制度や環境を整備していきたい。

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