ハラスメントの「境界線」を正しく認識している人は3割未満
厚労省では「ハラスメントの定義」の例として、「身体的な攻撃」や「精神的な攻撃」、「個の侵害」などを定めているが、ハラスメントに当たる行為か否かの「境界線」については判断が難しい。この境界線について正しく認識できている人はどの程度いるのだろうか。はじめにライボは、「ハラスメントだと思う境界線の認識」について調べた。その結果、全体では「認識しているつもりだが正しいかは曖昧」が53.1%で最多だった。そのほか、「正しく認識している」が28%、「なんとなく認識している」が17.2%、「全く認識していない」が1.7%となった。
また、同回答の年代別集計結果をみると、「正しく認識している」との回答率が最も高かったのは「30代」で29.4%だった。また、「認識しているが正しいかは曖昧」との回答が最も多かった年代は「50代」で59.5%だった。
6割以上がハラスメントの境界線に「敏感になっている」と回答
次に同社は、「ハラスメントだと判断する境界線の意識」について調べた。まず全体集計をみると、「とても敏感になっている」(15.3%)、「敏感になっている」(22.9%)、「どちらかと言えば敏感になっている」(23.4%)の合計は61.6%となり、「敏感になっている」との回答が6割にのぼった。さらに男女別集計をみると、「敏感になっている」との回答は男性が計65.1%、女性が計54.8%で、男性のほうがハラスメントに敏感であることがわかった。
ハラスメントへの意識により、社内コミュニケーションへの影響も
次に同社は、「ハラスメントに対する意識は職場でのコミュニケーションに影響するか」を尋ねた。すると、「とても影響する」(31.6%)、「影響する」(31.9%)、「どちらかといえば影響する」(25.4%)の合計が88.9%となり、約9割が「影響する」と回答した。さらに、「職場でのコミュニケーションに神経を使うか」を尋ねた。すると、「とても神経を使う」(16.7%)、「神経を使う」(26.8%)、「どちらかとえいば神経を使う」(34.5%)との回答が計78%と、約8割が「神経を使う」と感じていることがわかった。
あわせて「神経を使う」とした人に、「具体的にどのようなこと(場面)で神経を使うか」を自由回答で尋ねた。すると「異性や部下とのコミュニケーションするとき」や「性別など普段気にしないことが差別につながらないよう気を付けている」、「同年代以外との会話は世代間ギャップがあるので、言葉の選択を尊重している」といった声が寄せられたという。
「コミュニケーションに神経を使う」は管理職の回答が多数
続いて、「仕事上のコミュニケーションでハラスメントに神経を使っている」との回答を年代別に集計すると、「50代」(91.9%)が最多だった。以下、「40代」(82.7%)、「30代」(79.8%)、「20代」(69.5%)と続いた。年代が上がるほど、仕事上のコミュニケーションに神経を使っている傾向があるようだ。また、役職別に見ると、「課長クラス」(95.7%)が最も多かった。以下、「主任クラス」(93.2%)、「係長クラス」(85.7%)、「部長クラス」(83.4%)と続いた。最も低かったのは「役員」(60%)だった。