ハラスメント経験が「ある」人が6割以上。そのうち半数以上が直近1年間で経験か
パワーハラスメント防止措置(パワハラ防止法)が、2022年4月より中小企業を含む全企業に義務化されてから1年となるが、企業におけるハラスメントの実態はどうなのだろうか。ライボがはじめに、「職場でハラスメントを感じた経験」について尋ねると、「経験あり」が65.8%、「経験なし」が34.2%という結果だった。さらに、「ハラスメントを感じた経験がある」との回答者に対し、「直近1年間でハラスメントを感じた経験」について同社が尋ねると、「経験あり」が51.9%、「経験なし」が48.1%という結果だった。ハラスメントを感じた経験のある人のうち半数以上が、直近1年間のうちに経験している実態が明らかとなった。
ハラスメント経験者は「30代以降」に多い傾向か
次に同社は、「ハラスメントを感じた経験の有無」について属性別に回答を分類した。まず、「経験あり」との回答を「男女別」で集計すると、「男性」が66.8%、「女性」が63.2%となり、男女間での差はあまりみられなかった。また、同じく「経験あり」との回答を「年代別」で集計すると、「40代」が85.7%で最も多かった。以下、「30代」が83.5%、「50代」が75.7%、「20代」が37.3%という結果だった。ハラスメント経験が「ある」とする年代は20代が最も少なく、他の年代ではそれぞれ8割前後の高い割合となった。
「月に数日以上のハラスメント被害」が半数に。被害を受けた相手は「上司」が7割超
続いて同社は、「(ハラスメント)頻度と加害者」に関して調査した。「ハラスメント被害の頻度」では、「年に数日」(51.1%)が最多だった。以下、「月に数日」(19.7%)、「週に数日」(18.5%)、「ほぼ毎日」(10.7%)と続いた。月に数日以上被害を受けている人を合計すると48.9%となり、半数に迫った。さらに、「ハラスメント被害を受けた相手」を同社が尋ねると、「上司」が72.5%と最も多かった。以下、「先輩」(27%)、「役員」(14.2%)が続いた。
受けたハラスメントの種類は「パワハラ」が8割以上で突出
次に同社は「ハラスメント被害の種類と具体的内容」を調査している。まず、「受けたハラスメントの種類」について同社が尋ねると、「パワーハラスメント(パワハラ)」(81.5%)が突出した。以下、「モラルハラスメント(モラハラ)」(36.5%)、「セクシャルハラスメント(セクハラ)」(20.6%)が続いた。続いて「具体的な内容」についても尋ねると、「個人を否定するような言動」(54.9%)が最多となった。以下、「能力を否定するような言動」(49.8%)、「精神的な攻撃や嫌がらせ」(37.3%)が上位で続いた。パワハラやモラハラの実態を裏付けるような理由が上位にあがった。
ハラスメント防止策がある企業でも、過半数が「不十分な対策」と認識か
同社は続いて、「職場のハラスメント防止対策」について調査している。まず、「職場でのハラスメントの防止対策の有無」に関しては、「ある」が60.5%と、職場にハラスメント防止策があるとした人が6割にのぼった。さらに同社は、「防止対策がある」とした回答者に「職場のハラスメント防止対策状況」を尋ねた。すると、「十分な対策である」は30.7%にとどまり、「不十分な対策である」との回答は69.3%と7割に迫った。職場のハラスメント防止策に対しては、十分な満足が得られていないようだ。
ハラスメントにより退職した人は半数以上に
最後に同社は、「具体的な防止対策」について調査した。まず、「具体的な防止対策」について尋ねると、「相談窓口を設けている」(56.8%)が最多だった。以下、「ハラスメントガイドラインの周知」(45.5%)、「ハラスメント研修および教育を実施」(33.9%)が上位で続いた。また、先の質問で「ハラスメントを感じた経験がある」とした回答者に対し、同社は「ハラスメントが原因で退職した経験」を尋ねた。すると、「経験あり」(53.6%)との回答が過半数となり、離職の一因にハラスメントが強く影響していることがうかがえる結果となった。