株式会社給与アップ研究所は2022年10月20日、「社員との労務トラブル」に関する実態調査の結果を発表した。調査期間は2022年10月7日~11日で、社員との労務トラブルの予兆を経験したことがある経営者101名から回答を得た。調査から、労務トラブルにつながりやすい事案や、経営者がトラブル予防策として取った行動などが明らかとなった。
“社員との労務トラブル”の最多は「人間関係に関わる問題」。パワハラなどのトラブル回避のために経営者が取るべき行動とは?

“予兆を感じた労務トラブル”は「人間関係」や「パワハラ」が上位に

パワハラ防止法の適用拡大などを受け、企業における労務トラブルへの対処はより重要度を増しているが、実態はどうなのだろうか。給与アップ研究所はまず、「社員との間でどのような労務トラブルやトラブルの予兆を経験したか」を尋ねた。すると、「同僚・部下等との人間関係にまつわる問題(いじめなど)」が33.7%で最多だった。以下、「パワハラ」が23.8%、「評価の正当性」が17.8%、「セクハラ」が12.9%、「有給未取得・買取にかかわる内容」が10.9%と続いた。
“社員との労務トラブル”の最多は「人間関係に関わる問題」。パワハラなどのトラブル回避のために経営者が取るべき行動とは?

6割以上が「実際に労務トラブルを経験した」と回答

次に同社は、「実際に社員との間で労務トラブルを経験したか」を尋ねた。すると「ある」が63.4%、「ない」が36.6%という結果だった。
“社員との労務トラブル”の最多は「人間関係に関わる問題」。パワハラなどのトラブル回避のために経営者が取るべき行動とは?

トラブルへの対処方法は「当事者間での話し合い」が最多

続けて同社は、「労務トラブルやトラブルの予兆への対処方法」を尋ねた。すると、「当事者間での話し合い」が30.7%で最も多かった。以下、「社労士への相談」が28.7%、「インターネット検索」が19.8%、「弁護士への相談」が16.8%と続いた。
“社員との労務トラブル”の最多は「人間関係に関わる問題」。パワハラなどのトラブル回避のために経営者が取るべき行動とは?

経営者と社員の「コミュニケーション不足」がトラブルの要因であるとの声も

さらに、「社員との労務トラブルの要因やきっかけ」を自由回答で尋ねると、「コミュニケーション不足」、「パワハラの見過ごし」、「社員の性格、職能の理解不足」などといった声が寄せられたという。

労務トラブルへの予防策は「細やかなコミュニケーション」がトップに

続いて同社は、「労務トラブルへの予防策」を尋ねた。すると、「細やかなコミュニケーション」が36.6%で最多となった。以下、「就業規則の見直し・運用」が26.7%、「コンプライアンスの徹底」が21.8%、「採用時の適性検査」が19.8%と続いた。
“社員との労務トラブル”の最多は「人間関係に関わる問題」。パワハラなどのトラブル回避のために経営者が取るべき行動とは?

労務トラブルの予防・対応策に関する学びは進んでおらず

最後に、「労務トラブルの予防および対策に関する情報を定期的にインプットしているか」を同社が尋ねた。すると、「かなりしている」が17.8%、「ややしている」が31.7%で、「している」の合計は49.5%となった。一方で、「あまりしていない」は35.6%、「全くしていない」は14.9%で、「していない」の合計は50.5%で半数を超えた。
“社員との労務トラブル”の最多は「人間関係に関わる問題」。パワハラなどのトラブル回避のために経営者が取るべき行動とは?
本調査から、予兆を感じることの多い労務トラブルは「人間関係に関わる問題」や「パワハラ」などであることが明らかとなった。また、トラブルの要因としては、経営者・社員間の「コミュニケーション不足」や「社員の性格や職能の理解不足」などが挙げられた。労務トラブル防止には、社員とのコミュニケーション機会の確保や定期的な就業規則の見直しなどが必要といえるだろう。

この記事にリアクションをお願いします!