「人的資本に関する情報開示」を認知する企業は8割強に
2022年3月、「ISO 30414」の国内初となる認証を株式会社リンクアンドモチベーションが取得したことが報じられ、国内でも「人的資本開示」への注目度が高まっていると考えられる。そうした中、国内の上場企業では、「人的資本開示」にどの程度取り組んでいるのだろうか。はじめにエッグフォワードは、「米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に“人的資本に関する情報開示”を義務化したことを知っているか」を尋ねた。その結果、「知っている」が82.7%、「知らない」が17.3%となった。約9割が「今後、日本でも人的資本開示の必要性が高まる」と考えている
続いて同社は、「人的資本を開示するという考え方について、今後日本でも必要性が高まると思うか」を尋ねた。すると、「非常にそう思う」が45.2%、「ややそう思う」が42.3%で、合計が87.5%となった。一方で、「あまりそう思わない」は7.7%、「全くそう思わない」は1.9%で、合わせて9.6%だった。約7割が「無形資産が重要視されるようになった社会的背景」に注目か
「人的資本の情報開示の考えが必要となる」と回答した人に、「なぜそう思うか」を尋ねると、最も多かったのは、「(企業価値の指標が)有形資産(モノ・カネ)から無形資産に移行しているから」で68.1%となった。以下、「ESG投資の重要性が高まっているから」が58.2%、「経営戦略と人材戦略の連動が重要だから」が49.5%、「企業の中核人材における多様性の確保が求められているから」が35.2%と続いた。その他の自由回答では、「企業価値の見方が変わってきているため」や「AIが進歩しても人が主役になる場面が増えると思うから」、「より透明性を高めるため」などの声があった。
「人的資本の情報開示」に取り組む企業は6割に
さらに、「勤務先の企業では、人的資本の情報開示に取り組んでいるか」と質問すると、「既に取り組んでいる」は60.6%、「取り組んでいないが、予定している」は25%、「予定をしていない」は14.4%となった。「人的資本開示」に取り組む企業(予定含む)の9割が課題を感じている
続いて同社は、「人的資本の情報開示」に「既に取り組んでいる」もしくは「取り組んでいないが、予定している」と回答した人を対象に、「取り組みを進める上で課題を感じているか」を尋ねた。すると「非常に感じる」が42.7%、「やや感じる」が51.7%で、合計94.4%となった。人的資本開示の取り組みを推進する企業の大多数が、課題を感じているという実態が浮かび上がった。「人的資本開示」推進企業が感じている課題とは?
先の質問で「課題を感じている」とした人に、「具体的にどのような課題を感じているか」を尋ねると、「具体的な進め方がわからない」が53.6%でトップだった。以下、「社内データの集め方がわからない」が45.2%、「手探り状態で正解がわからない」が42.9%、「重視されている指標がわからない」が38.1%、「優位性や差別化につながる指標がない」が34.5%などと続いた。その他の課題として、自由記述では「効果的な方法がわかりにくい」や「同業他社の取り組みがわかりにくい」、「量的指標よりも質的側面をどのように伝えるか」、「確認すべき指標がはっきりしない」などがあった。