「後継者候補」がいる企業は半数に満たない結果に
中小企業庁によると、経営者の高齢化などで、事業承継が喫緊の課題となる中小企業も多い中、後継者育成や資産整理など、事業承継に関わる準備が思うように進んでいないのが現状だという(※)。こうした中、企業の事業承継の実態はどのようになっているのだろうか。まず、月刊総務は「自身の会社に後継者候補がいるか」を尋ねている。すると、「いる」が45.5%、「いない」が26.6%、「わからない」が28%となった。すでに後継者候補がいる企業は、半数を下回ることが判明した。
総務として事業承継に関与したことがある人は2割以下にとどまる
続いて、同社は「総務として事業承継に関わったことがあるか」を尋ねている。すると、「ある」が13.3%にとどまるのに対し、「ない」は86.7%と9割に迫った。総務部門として事業承継に関わる機会の少なさがうかがえる結果となっている。事業承継において総務は「組織再編」や「従業員とのパイプ」の役割を担っている
同社は続いて、「事業承継に関わったことがある」とした人に、「事業承継に際し、総務として尽力したこと」を尋ねている。すると、「組織再編」と「従業員とのパイプ役」がともに42.1%で最も多く、以下、「事業承継計画の作成」、「経営理念の浸透」がともに36.8%、「補助金など公的支援策の対応」が31.6%と続いた。また、「事業承継で苦労したこと」の自由回答では、「株主対応」や「先代と後継者の考え方の違い」などの声があがったという。他方で、「事業承継でやっておけばよかったこと」については、「知財の登録」、「IT促進」などといった声が寄せられている。
事業承継に関わる“公的支援策”を知らない人は約7割に
「事業承継に対する公的支援策の存在を知っているか」を尋ねた質問では、「知っている」が35%、「知らない」が65%となり、約7割が公的支援策の存在を認知していない実態が明らかとなった。加えて、事業承継に関わったことのある総務担当者に対し、「実際に利用した支援策」を自由記述で尋ねたところ、主な回答として「税制(事業承継税制・経営資源集約化税制など)」、「引継ぎ支援センターなどへの相談」、「国・自治体の補助金(事業承継・引継ぎ補助金など)」、「承継時の課題や経営状況の分析(事業承継診断・ローカルベンチマークなど)」といったものがあげられたという。
事業承継を意識している総務は4割以下。後継者育成や血縁での継承などに不安か
さらに、同社が「総務の仕事をする中で、事業承継を意識しているか」を尋ねた質問では、「意識している」が34.3%だったのに対して、「意識していない」が65.7%と多数を占めた。なお、「意識していない理由」としては、「社長がまだ若いから」や「通常の仕事を優先し、後回しになっている」などといった声があがったという。また、「事業承継について不安なこと」としては、「次世代の後継者育成」、「後継者が血縁でしか選定されないため、適性が不安」などの声が寄せられている。