8割以上が「パワハラ防止法」を認知。認知度は前年に比べ向上
2022年4月から、「改正労働施策総合推進法」(通称:パワハラ防止法)の防止措置義務の適用範囲が中小企業にも拡大したが、企業のパワハラ対策はどの程度進んでいるのだろうか。はじめに、エン・ジャパンが「パワハラ防止法を知っているか」について尋ねた質問では、34%が「内容も含めて知っている」、50%が「概要だけ知っている」と回答し、合わせて84%が認知していることがわかった。2020年時の調査からは7ポイント増加という結果だ。「内容を含めて知っている」との回答に絞ると16ポイント増と、ほぼ倍増した形となっている。
全体の6割超がパワハラ対策を実施も、企業規模により格差が
続いて同社は、「パワハラ対策の実施の有無」について質問している。その結果、「行なっている」との回答は全体では66%となった。従業員規模別に見ると、「1~49名」が45%、「50~99名」が64%、「100~299名」が75%、「300名~999名」が89%、「1,000名以上」が90%と、規模が大きくなるにつれ、対策の実施率も上がっていることがわかる。すでに防止措置が義務化されている大企業ではほとんどが対策済みである一方、小規模な企業ほど、対策が進んでいないのが実態のようだ。
パワハラ対策上の課題は「管理職や経営層の理解の低さ」や「パワハラの基準が曖昧」など
「パワハラ対策を進める上での課題」では、第1位が「管理職のパワハラに対する認識・理解が低い」で55%、第2位が「パワハラの基準・境界が曖昧」で43%、第3位が「経営層のパワハラに対する認識・理解が低い」で37%となった。それぞれの具体的なエピソードとしては、「管理職によるパワハラがあっても、注意できる立場の経営者の認識が低く、抑止が難しい」(不動産・建設関連/10~29名)や、「パワハラをしても刑罰等一切咎めなく昇進していくため、社内の士気が下がる」(IT・情報処理・インターネット関連/100~299名)といった“管理職の意識”に対する回答や、「暴力行為等は見てはっきりわかるが、言葉によるパワハラは意識の問題であり、明確な線引きが非常に難しい。例えば、指導や注意のつもりでも、受け取る側ではそれがパワハラと受け止められてしまうケースもある」(メーカー/30~49名)といった“パワハラの基準”に関する回答などがあがっている。
また、「パワハラのある会社は、経営、管理側が古い考えを維持していることが多いと感じる。経営層が率先して悪い社風を認識することから対策が始まると思う」(不動産・建設関連/1~9名)や、「経営者層にパワハラ気質がある。それを受けた幹部層の一部がパワハラの認識なく部下へパワハラをしてしまう現状がある」(広告・出版・マスコミ関連/300~999名)などといった、“経営層の意識”に関する課題を訴える声もあったという。