8割以上の上司が、「ハラスメント」を危惧して部下への発言を躊躇した経験あり
「パワハラ防止法」の施行などにより、職場の「ハラスメント」への意識が向上しているが、その定義について、従業員全体で理解を深めておかなければ、上司・部下間で必要なコミュニケーションに支障が出ることも考えられる。「ハラスメントのトラブルを回避したい」という意識は、上司と部下の関わりにどのような影響を与えているのだろうか。ダイヤモンド・コンサルティングオフィスはまず、「部下への指導やコミュニケーションの際に、『ハラスメントになるかもしれない』という懸念から発言を躊躇したことがあるか」と尋ねている。その結果、「はい」が83%となり、「いいえ」の17%を大きく上回った。大多数の上司は、部下とのハラスメントトラブルを回避しようと、言動に気をつけていることがうかがえる。
トラブルへの恐れが、育成指導や関係構築、能力開発などに影響か
続いて、「ハラスメントトラブル回避のために部下への発言を躊躇することで生じている、業務遂行への影響」について質問している。その結果、第1位は「育成指導がしづらい」で64.5%、第2位は「関係構築のための十分なコミュニケーションが取りづらい」で46.3%、第3位は「部下の能力開発をしづらい」で39.8%などとなった。トラブルを避けるために、必要なコミュニケーションまで避けてしまうケースもあるようだ。トラブルへの恐れは、部下との関係性構築だけでなく、部下の成長を阻害する要因にもなっていると推測できる。半数近くが「部下からハラスメントの指摘を受ける恐れのある発言をしてしまった」と回答
また、同社は「部下からハラスメントだと指摘される可能性のある発言をしたことがあるか」を尋ねている。すると、「はい」が47.1%と、5割に迫った。また、「部下に対してほめる・気づかう・雑談する時」との回答も2割を超えていることから、部下への発言に対して、業務以外の場面でも気をつかっている上司が一定数いることが予測される。
部下からハラスメントの指摘を受けた上司は約1割。上司・部下の感覚にギャップも
次に同社が、「部下から『その発言はハラスメントです』と指摘されたことがあるか」を聞くと、「はい」は11.9%という結果だった。実際に「ハラスメント」の指摘を受けたという上司は少数派であることがうかがえる。また、「はい」とした回答者に、「指摘された発言に対する、自身の考え」を尋ねた質問では、半数近くが「自分では、ハラスメントになる発言とは思わない」と回答している。上司・部下間の「ハラスメント」に対する認識の違いが、トラブルに発展するケースもあると予測できる。