大学の知財活用を一貫サポートし、優れた研究成果の実用化を目指す
新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、さまざまな分野でDX化への対応が求められているほか、気候変動を背景にグリーン化が急がれるなど、大きな社会課題に直面する状況が続いている。一方、このような状況は、イノベーションを創出するチャンスとも考えられることから、多くの研究を行い優秀な成果を生み出す「大学」に対しては、「イノベーションの源泉」という重要な役割が一層期待されている。しかし、事業主が大学の研究成果を活用し、スムーズに社会実装していくためには、研究初期のうちから後の事業化を見据え、「知財戦略策定」および、研究成果の適切な「権利保護」を行っていく必要性があるという。
これらの状況を踏まえ、特許庁と産業技術環境局、INPITは、大学における優れた研究成果を社会で活用していく「オープンイノベーション」の促進を目指し、知財活用の観点から今後必要となる取り組みをまとめ、「アクションプラン」として策定した。内容は以下の通り。
(1)INPITによる大学の知財活用支援の強化
●産学連携プロジェクトを推進する大学とパートナー企業(大学発のスタートアップ、中堅・中小企業等に属し、法人格取得に向け準備中の企業も含む)に対し、知財専門家を派遣。さらに、大学特化型の知財総合支援窓口として「産学連携・スタートアップアドバイザー派遣事業」を創設。
●特許庁と共同で、大学に向けた知財活用支援事業の統合を検討し、大学の優れた研究成果の発掘から社会実装に至るまでをINPITが一貫してサポートする「伴走型支援」を実施。
(2)産業技術環境局と特許庁・INPITの施策連携を強化
●産業技術環境局による「若手研究者発掘支援事業」等における知財関連の課題に、INPITが「伴走型支援」で対応していくための連携体制の強化をはかる。また、特許庁と産業技術環境局、INPITのそれぞれに「大学の知財支援検討チーム」を設置し、本アクションプランの実行を加速する。
さまざまな社会課題に頭を抱える企業も多いなか、企業の枠を超え、自社以外の組織や機関が持つ「知識」や「技術」を活用していくことの重要性が高まっている。本アクションプランのような産学官連携活動が活発化し、研究成果の実用化が進むことで、企業の革新的な動きも加速するだろうか。期待が膨らむ。