エヌエヌ生命保険株式会社は2021年10月18日、「事業承継に関する意識調査」の結果を発表した。本調査は、全国の中小企業(従業員5人以上300名未満)の子どもが居る男性経営者を対象に行われたもので、計515名から回答を得た(調査期間:2021年9月17日~9月18日)。これにより、不測の事態に向けた経営者意識が明らかとなった。
子を持つ中小企業経営者の「事業承継」について調査。不測の事態に備えて後継者と“ネガティブ経営課題”も話せているか

「自社に家族・親族が関与している」という経営者が過半数

子どもを持ち、事業を牽引する経営者は「後継者課題」をどのように考えているのだろうか。

はじめに、「自身の会社に家族または親族が関与しているか」と尋ねたところ、「関与している」は53%となり、半数を超えた。
子を持つ中小企業経営者の「事業承継」について調査。不測の事態に備えて後継者と“ネガティブ経営課題”も話せているか

7割弱が「配偶者」が経営に関与していると回答

先述の質問で「関与している」とした273名に、「(家族または親族の)誰が関与しているか」を尋ねると、最多は「配偶者」で68.1%だった。以降は「子ども」が33%、「親」が26%と続いた。
子を持つ中小企業経営者の「事業承継」について調査。不測の事態に備えて後継者と“ネガティブ経営課題”も話せているか

後継者は「家族・親族」もしくは「家族・親族以外」のどちらを考えているか

続いて、「自身で経営の継続が難しくなった場合、誰が次の法人代表者を務めるか」を尋ねた。トップは「役員・会社従業員(家族・親族以外)」で45.4%が回答。以下、「配偶者」が21.9%、「子ども」が16.3%の順で続いた。

また、「配偶者」、「子ども」、「兄弟姉妹」、「親」、「孫」および「その他の親族」などの“家族・親族”の合計割合は48.9%で、“家族・親族以外”の合計51%を僅かに下回った。
子を持つ中小企業経営者の「事業承継」について調査。不測の事態に備えて後継者と“ネガティブ経営課題”も話せているか

6割以上が「ネガティブな経営課題」を“家族・親族以外”の後継者候補に説明できていない

さらに、次の法人代表候補は“家族・親族以外”と回答した263名に、「借入金や売上など、会社経営のネガティブな局面も説明し、就任の了承を得たか」を聞いた。「了承を得ている」は38.8%にとどまり、「了承を得ていない」が62.1%と6割を超えた。
子を持つ中小企業経営者の「事業承継」について調査。不測の事態に備えて後継者と“ネガティブ経営課題”も話せているか

経営継続が困難になった場合を想定して、後継者と話ができているのは3割未満

また、「経営の継続が難しくなった場合のことについて、法人後継者候補と話し合ったことがあるか」については、「話し合ったことがある」は29.3%と3割に満たない結果に。一方、「話し合ったことはないが、機会があれば話し合いたい」が35.9%、「現時点で話し合う必要性は感じない」が34.8%となり、これらを合わせて70.7%が現時点で話し合ったことがないことがわかった。
子を持つ中小企業経営者の「事業承継」について調査。不測の事態に備えて後継者と“ネガティブ経営課題”も話せているか

後継者と話す内容は「現状の資金繰りや経営状況」が最多回答に

最後に、「話し合ったことがある」とした151名に、「その内容」を聞いた。すると、「資金繰りや経営状況」が最多で57.6%となり、以下「今後の事業展開予定」(46.4%)、「人事・社内の人間関係」(45%)と続いた。経営のあり方について、「現状」と「今後」のどちらについても話し合っているようだ。
子を持つ中小企業経営者の「事業承継」について調査。不測の事態に備えて後継者と“ネガティブ経営課題”も話せているか
今回の調査では、経営を継続することが困難になった場合の事業承継について、具体的な対策ができていない経営者も多いことが判明した。不測の事態でも事業承継がスムーズに行えるように、事前の備えをしっかりと行っていきたい。

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