ディップ株式会社は2021年5月28日、「DXサービスの導入に関する状況」の調査結果を発表した。調査期間は2021年4月2日~5日で、従業員規模が50名以上の企業に所属する1,000名より回答を得た。なお、回答者の属性は経営者・役員のほか、社業全般にかかわる部署(社長室・経営企画室など)、経営部門、経理・財務部門、人事・労務部門、広報・宣伝・IR部門、情報システム部門、企画部門、営業・販売部門のいずれか。これにより、企業のDX化の実態や、導入による効果などが明らかとなった。
「自社のDX化が進んでいない」と回答した中小企業の営業・販売部門は6割超。コロナ禍におけるDXの実態は

5割以上が自社のDXについて「進んでいない」と感じている

現在、新型コロナウイルス感染症拡大や、経済産業省が提唱する「2025年の崖」に対する施策の影響により、DX化が促進されている。企業では、どの程度DX化が進んでいるのだろうか。

はじめに、「勤務先では総合的にどの程度DXができているか」を尋ねた。すると、全体では「できている」が17.4%に対し、「できていない」は51.3%と半数を超える結果となった。
「自社のDX化が進んでいない」と回答した中小企業の営業・販売部門は6割超。コロナ禍におけるDXの実態は

中小企業の営業・販売部門では67.6%が「DX化が進んでいない」と実感

次に、DXの進捗具合を4つの属性に分けて比較した。その結果、「できていない」は「中小企業/営業・販売部門」が67.6%、「中小企業/管理部門」が51.2%、「大企業/営業・販売部門」が46%、「大企業/管理部門」が40.4%となり、大企業よりも中小企業、管理部門よりも営業部門ができていないことがわかった。
「自社のDX化が進んでいない」と回答した中小企業の営業・販売部門は6割超。コロナ禍におけるDXの実態は

導入ツールは、「勤怠管理・Web給与明細などの労務管理」が最多

続いて、「勤務先におけるデジタルツールの導入状況」を尋ねた。すると、「勤怠管理・Web給与明細などの労務管理ツール」が62.6%と最も多い結果となった。以下、「経費精算・管理などの経理ツール」が55.5%、「予定管理・情報共有などのグループウェア・ポータル」が51.9%と続き、管理系のツールが上位3つを占めていることがわかった。
「自社のDX化が進んでいない」と回答した中小企業の営業・販売部門は6割超。コロナ禍におけるDXの実態は

導入が進まない理由は「DX人材の不足」

次に、「デジタルツール導入が進まない理由」を尋ねた。その結果、「ツール導入後の明確なビジョンを描けていないから」が15.7%、「デジタル活用に長けた人材が不足しているから」が15.5%、「どのツールが良いのかわからないから」が14.7%だった。デジタルツールへの理解や推進ができる「DX人材」の不足が、導入の大きな障害となっていることが明らかとなった。

少子高齢化により労働力不足が深刻化している日本において、DX推進は急務といえるだろう。しかし、「知識や経験がないために導入ができない」ことは、根本的な目的である「人手不足解消にむけて業務効率化を図るためのDX化」を止めてしまう要因のひとつとなっていることがうかがえる。
「自社のDX化が進んでいない」と回答した中小企業の営業・販売部門は6割超。コロナ禍におけるDXの実態は

デジタル化がもたらす「業務にかかる手間の削減」は絶大な効果に

最後に、「勤務先で導入されているデジタルツールについて、実感している効果」を尋ねた。すると、「業務に係る手間の削減」が53.3%と、次位と大差をつけて最も多い結果となった。以下、「データ管理・分析の精度向上」が21.9%、「社員のデジタルリテラシー向上」が18.7%と続いた。手間がかかりやすいとされる管理系ツールを率先して導入し、ツールを使いこなすことによって、効果が得られていることが示唆された。
「自社のDX化が進んでいない」と回答した中小企業の営業・販売部門は6割超。コロナ禍におけるDXの実態は
DX化がスピードを要していることから、今後はより「DXに長けた人材」が必要となるだろう。専門的知識を持つ人材の採用や、アドバイザーの協力を求めるなど、自社の課題に沿った取り組みをしていきたい。

この記事にリアクションをお願いします!