ニューノーマル時代に対応した働き方を制度化し、課題改善へ
TOKYO FMはこれまで、人事戦略の基本方針として「社員一人ひとりの成長が会社を成長させる」を掲げ、取り組んできた。今年度は人事制度の改革に着手し、3つの大きな柱として、役割と能力に応じたグレード等級制よる「給与制度改革」、社員一人ひとりの成長を促す「能力開発制度」、ニューノーマル時代に即した「働き方改革」を定めた。今回、「能力開発制度」において、社員それぞれのキャリアプランを尊重するため、「社内公募制度」を導入。社内公募を実施したい部門が、募集希望職種や能力、年齢などのスペックを常務会に申請し、承認後に社内へ公募実施を告知する。異動希望者は公募部門の選考を受け、合格した場合に異動が成立する制度だ。制度施行に伴い、編集制作局やデジタル戦略局、戦略プロデュース室、経営管理局で各1名の公募を開始したという。
また、「働き方改革」においては、「副業」を正式に解禁した。これまでも事前に届け出があれば一部は認められていたが、今回をもって正式な規程を公布し、制度化に至った。社員の副業による長時間労働を防止するにあたり、他社との通算就労管理が難しいことから、当面の間は「他社との雇用関係を締結しない形態での副業」としている。社員が持つ能力を社外でも活かすことにより、新たなビジネス視点育成や人脈構築、本業での独創性発揮につなげたい考えだ。加えて、昨年度実施してきた「テレワーク勤務」を、週1~3回と定め、正式に制度化したという。
同社ではこれらを皮切りに、順次、人事制度改革を進めていきたいとしている。2021年10月に新制度移行を予定しており、役割と能力に応じた新グレード等級の要件定義の明確化や、30代半ば以降を想定したキャリアの複線化を実施し、専門能力をもつ人材の育成と、処遇の明確化を行う方針だ。さらに、制度改革を通じてSDGsの目標である「ジェンダー平等」や「働きがいのある人間らしい仕事の推進」にも取り組み、女性の管理職比率向上やハラスメント防止を含めた職場環境の改善に努めていくという。
昨今のビジネスパーソンは、「自分に合った働き方」や「能力を活かした働き方」を求めるなど、徐々に変化しつつある。その意向を汲み取った制度考案や実施が、今後の企業発展に影響を与えるかもしれない。