「後継者が不在の企業」は全国で約17万社
企業の後継者不在率は、改善傾向にあるのだろうか。はじめに、「全国・全業種における後継者不在率の推移」を見ると、2020年は65.1%の約17万社となった。2017年の66.5%から、年々下降している。経営者が40~70代の企業はやや改善傾向か
「後継者不在率」を社長の年代別に見ると、2020年において先述の全国平均65.1%を下回った年代は「60代」(48.2%)、「70代」(38.6%)、「80代以上」(31.8%)となった。経年で見ると、「40代」~「70代」については、いずれも年々低下しており、調査開始以来最も低い。特に、「50代」では7割以下、「60代」では5割以下という結果となった。「後継者不在率」が最も高かった都道府県別は?
次に、2020年の「後継者不在率」を都道府県別に見ると、最も高かったのは「沖縄県」で81.2%と、全国平均の65.1%を大きく上回っている。一方で、最も低かったのは「和歌山県」で44.8%だった。昨年から後継者不在率が低下した都道府県は18、昨年比で上昇は27となっている。主要都市を擁する都道府県では後継者不在率が低下しているが、周辺地域では上昇傾向にあると判明した。
業種別では「建設業」が不在率最多に
業種別にみると、最も「後継者不在率」が高いのは「建設業」で、70.5%という結果に。全業種の中で唯一の7割台を示しているが、それでも2018年以降は低下傾向にある。また、最も低かったのは「製造業」で57.9%だった(「その他」を除く)。経年推移では、「サービス」や「卸売」、「不動産」では調査以来の最低値となった。その一方で、「小売」は唯一前年から上昇している。2020年の事業承継は「同族承継」が最多だったが、増えているのは「内部昇格」
最後に、2018年以降に事業承継をしたという企業に、「現経営者と先代経営者との関係性(就任経緯)」を尋ねた。すると、2020年の事業承継は「同族承継」の割合が34.2%と、全項目中最も多かった。しかし、この値は2018年と比較すると約10ポイント低く、「同族承継」による事業継続割合は減少傾向にあるといえる。一方、血縁関係ではない役員などを「内部昇格」で登用した割合は34.1%と、同族承継の僅差に迫った。また、社外の第三者である「外部招聘」は8.3%で、いずれも割合が高まってきている。