複業が解禁されたものの、企業での制度導入は進んでいない現状
去る2018年、厚生労働省は副業・兼業に関する規定を新設し、実質的な「複業解禁」となったが、2年が過ぎた現在でも複業を認めていない企業は多いようだ。制度を導入したものの、活用されていないといった現状も見受けられる。一方で、従業員側の複業に関するニーズは年々高まっている。パーソルP&Tの働き方改革における専門家たちが、今年3月に発表した「副業の潜在ニーズに関する意識調査」によると、これから複業をしたいと考えている人は「すぐにでもしたい」(24.5%)、「いずれしたい」(39.8%)の合計が64.3%にのぼった。
ニーズが高いにも関わらず制度化や導入が進んでいない背景には、長時間労働の助長や判断基準の曖昧さ、人材の採用や流出面での影響といった懸念があるのだろう。また、従業員においても、「複業を認めてもらえるかわからない」、「複業を始めたがどうすればよいのかわからない」といった不安もあるようだ。
複業の効果を可視化することで、導入の促進を図る
パーソルP&Tは、今回の「複業促進モデル実証プロジェクト」を通して、複業を「禁止」「管理」するのではなく、「促進」「支援」という形で、企業変革の持続と次世代への可能性の拡大に貢献していくとしている。具体的には、社員の複業の後押しや効果の可視化をすることで、企業・従業員双方の不安や懸念点を解消し、企業の複業促進を図るようだ。今回の実証では、6月2日~26日にわたって、社員成長のために複業の促進を考える社員数300名以上の企業を募集。その中から5社を選び、7月1日~9月30日の期間で効果実証をおこなう。また、応募期間中に募集説明会を兼ねた企業向け複業促進セミナーも予定している。
複業や兼業の導入が、どのような影響をもたらすのかイメージできず、その不安感から制度化に踏み込めない経営者もいるだろう。「働きやすさ」が問われるいま、従業員のエンゲージメントを向上させ、選ばれる企業になるためにも、複業制度の導入を積極的に検討してみてはいかがだろうか。