「スライビング・リーダーシップ」の3つの特徴とは
新型コロナウイルス感染症拡大を食い止めるため、世界各国では都市封鎖、旅行や移動の制限といった措置をおこなっている。特にアジア太平洋地域では、大多数の企業が経営に大打撃を受けているようだ。また、人々の生活が急変したこともあり、大混乱による不安から、恐怖や脆弱性が生じている現状だ。そうした中、企業のリーダー達が問われているのが、「従業員や企業の安全を積極的に確保していくことができるか」といった能力だという。ハイドリック・コンサルティングでは、リーマンショックの起こった2008年に、「苦境時代におけるリーダーシップ成功の予測因子」についての研究を実施した。この研究で、危機的な状況下で成功するために必要な「スライビング・リーダーシップ」には3つのコアとなる特徴があることがわかったそうだ。
1.確固とした目的と方向性を持つこと
「何をしたいか」と共に「なぜそれをするのか」を理解し、「明確化」できること。
2.成長に向けたマインドセットを持つこと
「俊敏」なだけでなく、自らのエゴや「正しさ」に捕らわれずに継続的に学び、順応できること。
3.活力を持ってリードすること
「人々のつながり」や「成果」を感じられ、また「活力」もあること。
2008年の研究では、金融危機に陥った企業を対象に高得点成功者(ハイスコア・スライバー)と低得点成功者(ロースコア・スライバー)の視点や思考についても同時に調査した。その結果、ハイスコア・スライバーとロースコア・スライバーとでは、将来への思考やリーダー自身の性格などに大きな違いが見られることが明らかとなった。
3つの特徴からわかる次世代リーダーシップの形態
困難な時代に必要とされているのは、希望を見出し、思い描く未来を実現させるために行動できるリーダーだ。従業員を鼓舞し、重要な業務に集中してもらう際に必要となるリーダーシップには3つの特徴が必要とされている。1.信頼できること
現状に対し率直で正直であり、面倒な事実から目を背けないこと。また、話をする余裕があり、近くに感じられる存在として、約束したことを守り抜くこと。
2.公平であること
従業員やその家族などに対して気遣うこと。また、寛大で善意ある行動をし、他社の模範となること。
3.つながりを構築できること
独りよがりではなく、連携の取れた多様性のあるインクルーシブなチームを作れること。また、困難に取り組む人々を俊敏な判断でサポートいくこと。
緊急事態宣言が発令され、さらに延長により継続して自粛が長引いている現状。そうした状況だからこそ、従業員が不安を感じず業務に集中できるよう、前向きな視点や思考を持ち従業員の「希望」となっていくことが、リーダーには求められそうだ。