約7割が定年を迎えた企業で再雇用されている
少子高齢化に伴う人材不足の影響を受け、定年後も高いモチベーションを持って働きたいと考えているシニア世代に、活躍の場を提供しようとする企業は増えてきている。一方で、定年退職し、再雇用制度で働くシニアたちの現状はどのようなものなのだろうか。今回、事前のスクリーニング調査で「会社に継続雇用制度があり、定年後も働いている労働者の働き方」を聞いており、定年を迎えた会社で「再雇用」されて働いている労働者が65.6%と最も多かった。
雇用形態は「嘱託または契約社員」が約6割、契約期間は「1年間以内」が約5割
再雇用され、どのような雇用形態で働いているのかを聞いたところ、最も多い回答は「嘱託または契約社員」で64.2%。次いで「正社員または正職員」(32.2%)となった。契約期間は「1年間以内」が48.6%と最も多く、次いで「1年間を超える」が38.6%、「期間の定めはない」が12.8%という結果になった。再雇用により給与が「半額以下に減った」労働者が4割
次に、定年後、再雇用で働く労働者に給与の変化について聞いたところ、「5割以上減った」が39.8%、「3~4割程減った」が39.6%となり、約8割は再雇用後の給与が大幅に減っていたことが分かった。「仕事内容」「勤務時間」には概ね満足。しかし、7割以上が「給与」には不満
給料が減っている中で、勤務している会社への満足度はどうだろうか。「勤務日数・時間」については「とても満足」(14.2%)と、「ある程度満足」(57.4%)を合わせて7割以上が満足しているという結果となった。「仕事内容」についても、「とても満足」(9.4%)、「ある程度満足」(61.0%)とこちらも7割程度が満足していた。一方、「給与」については、「全く満足していない」(32.4%)と、「どちらかというと満足していない」(42%)を合わせると74.4%となり、全体のほぼ4分の3が「給与に満足していない」と答えていた。
給与への満足度が低いほど転職を検討している傾向
次に、「現在、転職を考えているか」を聞いたところ、全体の2割が「転職を考えている」と回答。給与の満足度と照らし合わせてみると、満足度が低くなるにつれて転職を考える割合が増えており、給料に「全く満足していない」と回答した人の30.2%が「転職を考えている」という結果となった。定年退職後の労働条件について、情報収集することが大切
今回の調査結果で4割近くの人が「再雇用後の給与が半額以下になった」と回答しているように、定年退職後に再雇用となる際の給与は、現役時代よりも大幅に下がるケースが多いようだ。そして、これに対して不満を抱いているシニア層が多いという現状も見て取れた。人生100年時代といわれる現代。企業は、継続雇用制度などで定年後の再雇用を迎えなければならないケースが増えている。そんな中、定年を迎える人材が戦力として考えられるスキルや経験を持っているのかを見極め、シビアに労働条件や給与を決めている。働く側は、定年退職後に今所属している企業で再雇用されると安心せず、どんな仕事をどんな条件でできるのか、別の会社に行くにはどのような手段があるのかなど、事前に情報を収集し、学びなおしをしたり、人脈ネットワークを構築したりと、予め備えておく必要がある。