株式会社ライボは2023年7月31日に「2023年 賃上げとボーナスの意識調査」の結果を発表した。調査期間は2023年7月5日~10日で、20~50代のビジネスパーソン計714名より回答を得た。本調査を元に、企業の夏のボーナス支給と賃上げに関する統計データを紹介する。

2023年の「賃上げ」を働く人の5割弱が経験。“上がった額”と“ボーナス額”の平均・中央値はどうだったのか?

2023年度の「賃上げあり」は約5割。「夏のボーナス支給」も6割に迫る

物価の高騰を受け、賃上げを決める企業も目立っているが、実際に企業の賃上げやボーナス支給の実態はどうなのだろうか。

はじめにライボが「2023年度に賃上げがあったか」を尋ねると、「賃上げあり」は48.9%と半数未満になっていた。「賃上げなし」は51.1%と、賃上げを行わなかった企業のほうがわずかに多かった。

また、「2023年の夏ボーナスの支給有無(予定を含む)」を尋ねたところ、「支給あり」は58.4%、「支給なし」は41.6%であった。
2023年度に賃上げがあったか/2023年の夏ボーナスの支給有無

回答額の平均値は「賃上げ」が1.9万円、「ボーナス支給額」が79万円に

続いて同社は、「2023年度に賃上げがあった」とした人に、「上がった月収の額」を聞いた。その結果、回答結果の「平均値」は1.9万円、「中央値」は1万円、「最頻値」は1万円となった。

また、先述の「夏ボーナスの支給がある」とした人を対象に、「支給額(支給予定額)」を尋ねた。その結果を集計すると、「平均」が79万円、「中央値」が60万円、「最頻値」が50万円だった。
2023年度の賃上げの額/2023年度の夏ボーナス支給額

「ボーナス満足度」は大きく二分する結果に。約8割はボーナス支給より「賃上げ」を望む

続いて同社は、今夏のボーナス支給有無にかかわらず、全体を対象に「今夏ボーナス額の納得度」を尋ねた。すると、「とても納得」(9%)、「やや納得」(15.3%)、「納得」(25.2%)の合計は49.5%だった。一方、「とても不満」(22.8%)、「やや不満」(9.9%)、「不満」(17.8%)の合計は50.5%であった。

さらに、「賃上げとボーナスはどちらが嬉しいか」を尋ねると、「賃上げ」が53.6%、「どちらかといえば賃上げ」が29.1%となり、合計は82.7%だった。これに対して、「ボーナス」(9.7%)および「どちらかといえばボーナス」(7.6%)と答えた人の合計は17.3%と少数派になっていた。
今夏ボーナス額の納得度/賃上げとボーナスはどちらが嬉しいか
さらに、「賃上げを希望する理由」を自由回答で聞いた。すると、「賞与は減ることがあるが、給与はそうそう減らない」や「物価高騰で毎月の生活に影響があるため、賃上げは生活水準の維持向上に不可欠であるため」などの意見があがった。

同様に、「ボーナスを希望する理由」については、「トータルの年収で見るとボーナスのほうが賃上げよりも額が大きいため、断然ボーナスのほうが助かる」や「毎月の賃上げはあくまで物価高騰の対策にすぎず、ボーナスは額も大きく使い道の自由度があるから」などの声が聞かれたとのことだ。

賃上げやボーナス支給があっても、消費活動は「消極的になった」との声

最後に同社は、2023年に「賃上げがあった」、「今夏ボーナス支給があった(予定がある)」とした回答者を対象に、「物価高騰による消費活動に関する影響」を尋ねた。「賃上げがあった」とした人は、「消極的になった」が67.4%(とても消極的になった:20.1%、消極的になった:21.9%、やや消極的になった:25.4%の計)だった。

また、「今夏ボーナス支給があった」とした人は、「消極的になった」が63.4%(とても消極的になった:20.2%、消極的になった:22.1%、やや消極的になった:21.1%の計)であった。この結果から、物価高騰は給与やボーナス額にかかわらず、消費意欲を失わせる原因になっていると推測できる。

自由回答では、「賃金は生活費、ボーナスは貯蓄に使うのでどちらも支給してくれないと生活に困る」や、「現在どちらももらっていないのでギリギリの生活。将来心配で仕方ない」などの声が寄せられたという。
物価高騰による消費活動に関する影響
本調査結果から、2023年度に「賃上げがあった」人は半数弱で、「今夏のボーナス支給があった」人は約6割であることがわかった。全体的には、賃上げと夏のボーナス支給があっても「消費活動」を抑えている傾向となっており、物価高騰が消費意欲を減少させる要因になっていることがうかがえた。企業側も経済の市況を鑑みながら、従業員の生活水準維持にも配慮した給与のあり方を継続的に検討していく必要があるだろう。

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