味の素株式会社とSCSK株式会社、オムロン株式会社、キリンホールディングス株式会社、株式会社島津製作所、株式会社JMDC、日本生命保険相互会社、株式会社三井住友銀行は2023年6月30日、全8社を代表幹事とする「健康経営アライアンス」を設立したことを発表した。本提携により、企業間を超えて省庁や学術機関などとも連携し、健康経営の型づくりと成果創出のためのソリューションの共創、および産業界への実装を実現していく考えだ。
業界を超えた8社が「健康経営アライアンス」を本格始動。148の企業・団体が参画し、健康経営による企業価値向上へ

企業・団体148社と省庁、学術機関が連携。健康経営の実践・実装を牽引

昨今、注目を集める「健康経営」を推進することは、企業の生産性向上のみならず、人的資本経営の実践においても重要な課題となっている。また、企業の健康保険組合(以下、健保)の多くは財政難に直面し、その持続可能性が脅かされているという。

これらの経営課題を日本の企業が共通に抱える社会課題と認識し、味の素株式会社とSCSK株式会社、オムロン株式会社、キリンホールディングス株式会社ら全8社は、業界を超えて発起人および代表幹事となって、各企業に「健康経営アライアンス」への参画を求めてきたという。

健康経営アライアンスとは、「社員の健康をつうじた日本企業の活性化と健保の持続可能性の実現」というビジョンのもと、企業と健保が連携したコラボヘルスの推進を通じて、データドリブンの課題特定と解決策の実行、各種施策の評価を行っていく組織だ。今般、同ビジョンに共感し参画を示した企業・団体は、アフラック生命保険株式会社や株式会社カインズ、積水ハウス株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、ロート製薬株式会社など、2023年6月30日の設立時点で140社におよんだ。

さらに、同アライアンスの協力には、東京大学「未来ビジョン研究センター データヘルス研究ユニット」の古井祐司特任教授と井出博生特任准教授が、オブザーバーには経済産業省と厚生労働省が参画している。

なお、同アライアンス設立に伴い、会長にはオムロン株式会社の取締役会長・山田義仁氏が就任したという。山田氏は、「今回設立した健康経営アライアンスのミッションに沿い、健康経営に取り組むリーディングカンパニーと志を共に、2つの目標を掲げ取り組んでいく」としている。1つ目は、社員が健康で活き活きと働ける環境をつくることで企業価値の向上に貢献する「人的資本による価値創出」だ。2つ目は、ヘルスデータを活用した健康リスク者への早期介入などに取り組むことで、健保の財政健全化に貢献する「企業健保の持続可能性」としている。さらに、同アライアンスは業界・業種・企業の枠を超えた取り組みであることから、山田氏は「企業間のみならず、省庁や学術機関などとも連携して、健康経営の実践とソリューションの開発・実装をリードすることで日本を“元気”にしていく」とコメントしている。

健康経営の評価指標設計や勉強会実施等を経て「健康経営のソリューション」を目指す

健康経営アライアンスの主な取り組みは、以下の通りだ。

1.健康経営の評価指標の設計
健康経営の取り組みと成果が適正に評価され、企業価値向上に資する健康経営のKPIを設計する。

2.データ分析に基づく健康経営アセスメントの作成
健診・レセプトデータの分析結果や従業員アンケート等の分析結果を活用し、健康課題の特定と可視化に資する「健康経営アセスメント」の枠組みを検討中。全会員の健保・労務担当者とのコラボヘルス促進の一助を目指す。

3.各種ソリューションの情報プラットフォームの構築
健康経営の成果創出に必要な各種ソリューションの情報を蓄積。参画企業・団体のソリューション導入経験、効果検証結果をもとにデータベースを構築し、自社課題に合ったソリューション選定の判断材料を共有する。また、1社では限定的なトライ&エラーを、多くの企業・団体による集合知とすることで、解決策の実行に関するラーニングスピードを高めていく。

4.勉強会/セミナーの開催
経営層、人事・健保実務担当者向けに、健康経営に関するリテラシー、スキルを高めるための勉強会/セミナーを開催する。

<テーマ例>
(1)人的資本経営における健康経営の取り組み
(2)健康経営におけるデータ活用
(3)健康経営を浸透する企業文化の醸成と従業員への働きかけ
(4)課題解決に向けた企業の実践事例


これらの取り組みを経て、2023年度中に300社の参画を目指す考えだ。さらに、2024年度には先行実践企業での効果検証と実践企業数の拡大、2025年度には継続的な参画と実践企業数の拡大、健康増進・重症化予防市場を創造していきたいとしている。

同アライアンスでは今後も、データヘルス計画に基づくPDCAサイクルの着実な遂行を通じて、健康経営の型づくりと成果創出のためのソリューションの共創、および産業界への実装を目指すという。

経産省では、「企業理念に基づいた従業員への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や物価向上への効果に期待できる」としている。健康経営への取り組みを推進したい企業では、こうしたアライアンスへの参画や、取り組み事例を参考とした施策を検討してみてはいかがだろうか。

※ 健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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