「人事関連職種の求人件数・転職決定人数」は2018年と比べいずれも伸長
2020年より新型コロナウイルス感染症が世界的に流行拡大し、現在は徐々に減少してきているが、コロナ禍前後で人事関連職種の求人件数や転職決定者数は変化しているのだろうか。はじめにリクルートは、「人事関連職種の求人件数・転職決定人数の推移」を分析した。すると、求人件数については、2018年度を1として指数化した場合、2022年度は2.4と伸長していることがわかった。また、転職決定人数も1から1.77へと、数を伸ばした。新型コロナ拡大の影響を受けた2020年度は、求人件数が0.92、転職決定人数0.79と、ともに落ち込みを見せた。しかし、翌2021年度には2019年度と同水準まで回復した。特に求人件数は、直近1年で急増していることが明らかとなった。
「人事制度構築系・組織型人事コンサル」の求人は2.77倍に増加
さらに同社は、「人事関連職種の求人件数」をポジション別に分類した。すると、「人事制度構築系・組織系人事コンサル」と「採用・人員計画立案」のポジションでは、2022年は2018年に比べて2.7倍以上となった。特に「採用・人員計画立案」は、2020年度には0.88まで落ち込みを見せたが、その後は急速に回復していることが見て取れる。中途採用が「未充足」とした企業は8割程度を推移。人手不足解消に向け人員強化か
また、同社のサービスを利用している企業に対して実施した「中途採用動向調査」(調査期間:2022年7月21日~9月7日、有効回答数:9,935社)をもとに、「中途採用の充足状況」を調査した。採用計画に対し「未充足」とした企業を抜粋して未充足率を見ると、2021年上半期から2022年上半期にかけて、80%前後と高い水準で推移していることがわかった。前設問の結果と照らし合わせると、中途採用計画が未充足な企業が多い中、人手不足解消に向けた採用関連ポジションの人員強化を図っていることがうかがえる。リクルートは本分析結果に対し、「今、人的資本経営(人への投資)への関心が高まっています。企業においては働く人々の多様な価値観を尊重し、一人ひとりの強みを活かし、そのエネルギーを企業価値につなげる人事戦略を検討することが重要です。」と解説している。人的資本経営の実現に向け、人事関連職種の採用強化を検討する企業では、高い戦略性を持った「人事プロフェッショナル人材」の獲得が重要となっていくだろう。