「キャリア証明書」の発行により海外人材の「ブラックボックス化」の課題解消へ
フォースバレーと麺食、PitPaの3社は、海外人材の採用やキャリア開発支援を目的に、「NFT」(Non Fungible Token:非代替性トークン)と、国際技術標準化団体が提唱する「VC」(Verifiable Credentials:内容の検証がオンラインで可能な自己主権型のデジタル証明書)に基づいた「キャリア証明書」の発行を開始した。これにより、これまでブラックボックス化されてきた、海外人材の来日後の学びや仕事の実績を可視化できるという。さらに、海外人材の滞在中だけでなく帰国後のキャリアアップにもつながっていくとしている。国内外でFC事業を展開する麺食では、グローバルな市場で競争するにあたり外国人材との協力が不可欠であると考え、これまで多様なバックグラウンドをもつ外国人材の採用を進めてきた。その中で課題となったのは、外国人材の「職歴の確証」と、「就労により獲得したキャリアの可視化」だったという。
他方で、フォースバレーとPitPaは2022年より業務提携を行い、世界各国のグローバル人材を対象にNFT証明書の発行を開始。第1弾として、同年12月にネパール最高学府トリブバンのトリブバン大学と戦略的覚書を締結し、ネパールと日本両国でNFT証明書の発行をスタートしたとのことだ。今回は第2弾として、麺食における海外人材採用の問題解決を目指し、同社で得た職歴をNFT証明書で発行するプロジェクトの立ち上げに至ったという。
「人材還流エコシステム」の形成で個人や企業、国との持続可能な成長を目指す
今回のプロジェクトでは、フォースバレーがネパールの私立大学「Mid-Valley International College」(以下、ミッドバレー)と連携。同大学が開講した日本就職コース「Connect Job Class」を2022年に修了し、2023年4月に麺食に入社したネパール人卒業生に対して、ミッドバレーより「学位証明書」と、麺食より「キャリア証明書」が発行されたとのことだ。本証明書は、国際技術標準化団体であるW3Cが提唱する「VC」の規格に準拠した形で発行されており、第三者が発行元に問い合わせることなく情報の真正性を検証できるという。3社は、本プロジェクトについて次の3つのポイントを示している。
●日本企業(麺食)に人材を輩出した海外の教育機関(ミッドバレー)に対し、「育成還元金」が提供予定であること
●NFT証明書の発行を通じて、個人と企業、さらには国の持続可能な成長を実現する「人材還流エコシステム」を形成していくこと
情報の真正性が確保された証明書の発行で「海外人材のキャリア支援」につなげる
なおフォースバレーは、海外人材に対しNFTとVCを活用した「キャリア証明書」を発行する理由として、以下の3つをあげている。●職歴の蓄積・可視化により、海外人材のキャリア支援につながる
●海外人材に対する企業ブランディングの向上につながり、優秀人材の惹きつけにもつながる
フォースバレーはこれにより、海外人材における採用プロセスの効率化や長期的なキャリアの育成、企業としての信頼性につながることで、グローバル市場での採用競争力を向上させることに効果を示すとの考えを示している。
3社は、今後もNFTを活用した証明書の発行を通じ、海外人材のキャリアを支援していきたい考えだ。合わせて、海外人材と日本企業との関係性をより強固なものにし、世界に誇る海外人材採用および育成モデルの構築を目指すという。
海外人材について、キャリアに確証をもって採用ができる本事例のような取り組みは、企業と海外人材の両者にとってメリットがあるといえるだろう。今後、海外人材の採用やキャリアアップを推進したい企業では、国内外で活用できるデジタル証明書の発行も検討してみてはいかがだろうか。