報酬水準の引き上げにより、社会問題の「労働力不足」にも寄与
パーソルキャリアでは、「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」をミッションとし、人的資本への投資を積極的に行っている。これまでにも、社員の居住地を限定しない「フルリモートワーク制度」や、ライフステージに合わせて働く日数・時間・場所・休暇を選択できる「FLASH制度」、育休中の社員に社内での就労機会を提供する「育休ウェルカムバック制度」を創設し、実施しているという。また、同社は働く人々が自らの意思で自身のキャリアや人生を選択できる「キャリアオーナーシップ」を育む社会の創造を目指しており、その実現には、社員の有するスキルや知識、資質が基盤になると考えているという。そうした考えのもと、社員の個々の価値を最大限に引き出すために今回、「特別昇給」と「人事制度の改定」による報酬水準の引き上げを決定した。
「特別昇給」においては、社員の1ヵ月ごとの基本給額を平均5%引き上げる。「人事制度の改定」においては、会社の利益を社員報酬として、より還元できる仕組みとすることを目的に、基本給や賞与基準額などの引き上げを行うとのことだ。また、これまでは就業地域の物価水準を考慮した賃金控除の仕組みを取ってきたが、働く場所の自由度が高まっていることから、その仕組みを撤廃するという。これらの報酬水準の引き上げにより、年収は最大で32%アップの約170万円増、総額にして30億円規模の投資となるとのことだ。
労働力不足が深刻化する中、同社は今回の報酬水準引き上げが、採用力強化や離職防止にもつながると考えている。今後も、社員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮し、キャリアオーナーシップを育む社会の創造に貢献できるよう、組織のあり方や働き方のアップデートを続けていくという。
経済産業省で「人的資本経営」を推進していることから、人材への投資に関心が高まっている。報酬水準の引き上げによる先行投資を行うことで、企業においては社員の定着率向上や企業力強化につながると考えられる。人材の獲得や定着を課題としている企業では、他社の取り組みも参考にしながら、「人的資本への投資」につながる施策を検討してみてはいかがだろうか。