株式会社ベネッセコーポレーションは2023年3月20日、「新入社員研修に関するアンケート」の結果を発表した。調査期間は2023年2月17日~20日で、2023年度の新入社員研修に関わる人材育成担当者643名より回答を得た。これにより、新入社員研修に関する課題や企業で実施されている研修の内容・形式などが明らかとなった。
23卒新入社員研修担当は「定着と早期離職防止」に課題意識。若手のキャリア多様化を踏まえつつ“早期戦力化”実現したい考え

新入社員研修における課題は「定着・早期離職防止」が3割以上

企業での人材育成強化が求められる中、2023年度の新入社員研修を行う人材育成担当者は、どのような課題を感じているのだろうか。

はじめにベネッセコーポレーションは、「勤務先での2023年度の新入社員研修について、課題に感じていること・悩んでいることはあるか」を複数回答で尋ねた。すると、「自社への定着、早期離職を防ぐこと」が34.7%で最も多かった。以下、「業務に必要なスキルや知識・マインドの習得」が33%、「研修で得たことを配属後に活かすこと」が32.5%と続いた。この結果から、同社は「キャリアが多様化している現代において、新入社員のエンゲージメント向上のためにどのような教育環境を作るかが育成担当の課題となっている」との見解を示している。

また、「研修の提供時期」を尋ねたところ、「内定時から研修を実施する」との回答が半数を超えたという。早期から、内定辞退や早期離職を防ぐ取り組みを行っている企業も多いようだ。
2023年度の新入社員研修における課題や悩み

新入社員研修を通して「スキルや知識の早期習得」の機会を提供

次に同社は、「勤務先における2023年度の新入社員研修で新入社員に得てほしいこと」を尋ねた。その結果、「業務に必要なスキルや知識を早期に習得すること」(47.3%)が最も多く、次に「自社の社員としてふさわしいマナーを身につけること」(46%)が続いた。

この結果から同社は、「労働力人口の減少や急速なデジタル化などを背景に労働環境は大きく変化し、生産性を重視した『ジョブ型雇用』が推進されつつある。それは新入社員にも求められており、多くの企業で新入社員の即戦力化を望んでいる」との見解を示している。
2023年度の新入社員研修で新入社員に得てほしいこと

「早期戦力化」や「DX人材育成」を目的とした研修プログラムが主流に

続いて同社は、「勤務先における2023年度の新入社員研修の研修内容(スキル)」を複数回答で尋ねたところ、「ビジネススキル」が70.6%、「ITスキル」が51.8%と、大きく分けて2つの内容を実施していることがわかった。「ビジネススキル」に関する具体的な研修内容では、「セルフマネジメント」と「タスク・時間管理」、「プレゼンテーション」が上位だった。

一方で、「ITスキル」に関する研修では、「Officeスキル」と「情報セキュリティ」、「DXの基礎」が上位となり、早期戦力化やDX人材育成に向けた研修が積極的に行われていることがうかがえる。
2023年度の新入社員研修の研修内容(スキル)

4割以上がオンラインと対面を組み合わせた「ハイブリッド」で研修を実施

次に、「新入社員研修の形式」を同社が尋ねると、「オンラインのみ」(15%)と「両方(対面とオンラインのハイブリッド)」(45%)の合計は60%と、6割が新入社員研修をオンラインでも実施していることがわかった。自由回答からは、「オンラインを取り入れることで時間や場所にとらわれず参加でき、研修の質を保てる」といった声も聞かれ、そのメリットからオンライン研修の実施が進んでいる企業があるようだ。

一方で、「対面のみ」も32%あることから、同社は「新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和に伴い、対面の研修が戻りつつある」と推測している。

また、「両方(ハイブリッド)」(45%)を実施している企業では、そのうち7割以上がハイブリッド実施の有効性を感じているという。対面形式が戻る一方で、今後もオンラインの利点も活かした「ハイブリッド」での研修の実施が多くなると予測できる。
新入社員研修の形式
調査結果より、人材育成担当者が持つ「自社への定着・早期離職防止」への課題感から、即戦力化を目指した研修を行う企業が多い傾向にあることがわかった。研修形式については、オンラインと対面を併用した「ハイブリット」で実施する企業が4割以上となっていた。今後も、研修の開始時期や内容、形式などを見直しながら、新入社員にとって最適な研修を計画していきたい。

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