ビズメイツ株式会社は2023年1月11日、「IT企業のリスキリングに関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年10月20日~22日で、IT企業に勤める30代の会社員107名から回答を得た。これにより、企業でのリスキリングの実施状況や必要性、学習意向のある領域などが明らかとなった。
30代のIT企業勤務者の7割が「リスキリングが必要」と実感も、現状で支援できている企業は2割程度に

「リスキリング支援に1兆円を投じる」という政府方針を認知していたのは3割

企業の持続的な成長戦略を後押しするため、政府はリスキリング支援を強化する方針を打ち出しているが、企業側ではその表明をどのように受け止めているのだろうか。はじめに同社は、2022年10月に首相が「企業のリスキリング(学び直し)支援に今後5年で1兆円を投じる」と表明したことについて「知っているか」と尋ねた。すると、「知っている」が31.8%、「知らない」が68.2%となり、認知していたのは3人に1人程度だった。
首相のリスキリングに関する表明について知っているか

リスキリングを支援できているのは4社中1社

続いて、同社が「勤務先の企業は現在リスキリング支援を実施しているか」と質問したところ、「実施している」が25.2%、「実施していない」が74.8%となった。リスキリングに取り組んでいる企業は、まだ少数派であることがわかった。
勤務先は現在リスキリング支援を実施しているか

調査対象者のビジネスパーソンの7割が「リスキリングの必要性」を実感

次に、「自身のキャリアにおいて、リスキリングは必要だと思うか」と同社が質問すると、「非常に必要だと思う」が28%、「やや必要だと思う」が43.9%となった。これらの合計は71.9%で、30代のビジネスパーソンの7割以上が「リスキリングを行う必要がある」と感じていることがわかった。
自身のキャリアにおいてリスキリングが必要だと思うか

8割が「仕事の幅」を広げるためにリスキリングに取り組みたい

また、同社は先の設問で「リスキリングが必要である」と回答した人に、「なぜリスキリングをする必要があるか」という理由の選択を求めている。その結果、最多となったのは「仕事の幅を広げるため」で80.5%が回答。以下、「長く働き続けるため」(46.8%)、「ジョブチェンジのため」(39%)が続いた。

その他の自由回答では、「今のスキルで今後も働けるか不安」や「最新の技術が必要とされる仕事のため」などの声があったという。
リスキリングの意向がある理由

約6割が「プログラミング言語」を学びたい意向を示す

さらに、同じ対象者に「リスキリングの意向があるIT関連の学習内容」を尋ねると、「プログラミング言語」(59.7%)、「AI・機械学習」(54.5%)、「データ分析」(48.1%)が上位となった。所属するIT関連企業において、開発スキルやデジタルデータの分析力を伸ばすことが、今後求められていると考えているようだ。
リスキリング意向があるIT関連の学習内容
本調査結果において、リスキリングに取り組んでいる企業は4社中1社と少数だったが、ビジネスパーソン自身は7割以上がリスキリングの必要性を感じていることが明らかとなった。自律的なキャリア形成を支援するとともに、将来的な経営課題となりうる「デジタルスキルの不足」がどの程度なのか、実態把握を進める必要がありそうだ。

この記事にリアクションをお願いします!