デジタル化が進む企業は2019年と比較し増加傾向に
グローバル化やAI等のテクノロジーの急激な進展によって事業競争が激化する中で、企業が持続的に成長するためには、IT化による業務の効率化やデータを活用した最適配置といった「デジタル化した科学的な人事運営(デジタルHR)」が求められている。新型コロナウイルス感染症拡大前(2019年)と調査時点(2022年)を比較して、企業におけるデジタルHRはどの程度進んだのだろうか。まずSmartHRは、「デジタル化実施状況」について尋ねた。すると、「人事業務の自動化」、「人事のデータ活用」、「タレントマネジメントシステムの活用」の全テーマで実施している企業は22.2%で、2019年(6.9%)の3倍以上となった。
一方で、「全テーマで未実施」の企業は28.6%だった。前回調査の2019年(38.5%)より約10ポイント減少したものの、デジタルHRのいずれのテーマもデジタル化していない企業が約3割あることがわかった。
半数が「人事業務の自動化」を実施
続いて、同社が「人事業務の自動化の検討・実施状況」について質問した。その結果、「ほぼ全領域で実施」が3.2%、「特定の領域でのみ実施」が47.6%で、人事業務を自動化している企業が50.8%となった。2019年(29.5%)と比較すると、21.3ポイント増加した。「人事業務におけるデータ活用」を実施しているのは約半数に
次に、「企業の人事業務におけるデータ活用の検討・実施状況」を同社が尋ねると、「ほぼ全領域」(3.2%)および「特定の領域」(44.4%)で計47.6%がデータ活用を実施していることが明らかとなった。2019年では「データ活用の検討の予定もない」との企業が7.8%あったのに対し、2022年は0%となり、各企業でデータ活用が進んでいることがうかがえる。4割以上が「タレントマネジメントシステム」を導入済み
次に、同社が「タレントマネジメントシステムの検討・実施状況」について聞くと、「導入済み」が44.4%で、2019年(21.7%)の約2倍に増えた。2019年と比較し「計画的な人事育成」に課題感が増す。新たな人事課題も
最後に、同社は「企業で現在(調査時点)、検討・議論されている人事課題」について尋ね、さらに2019年の調査と比較して顕著な増加(10ポイント以上)が見られた項目を示した。すると、「計画的な人材育成」(+15.6ポイント)、「適切な代謝の促進」(+15.2ポイント)、「理念の浸透/組織風土・文化の見直し」(+10.4ポイント)となった。今回の調査で新設した選択肢の中では、「人事戦略の策定」(77.8%)および「人的資本情報の測定・開示」(65.1%)も多く回答されており、企業が新たな人事課題のテーマとして抱えていることがうかがえる。