株式会社クラウドワークスは2022年12月13日、「副業データブック 2022年版」を発表した。これは、2022年9月14日~21日に実施された企業向け/個人向けの2つのアンケートをまとめた内容で、企業向けアンケートは経営者・役員541名から、個人向けアンケートは15歳以上の個人1,057名(専業主婦・主夫、学生等を除く)から回答を得ている。本記事では、調査結果の一部の内容を抜粋して紹介し、“副業の実態”を企業側/働く人の両面から考える。
“従業員の副業”を認めているのは全国事業所の7割。副業者を採用する企業側は9割が継続/拡大の意向

副業者を受け入れている企業は「副業ワーカーのスキルの高さ」を実感

厚生労働省によって、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が定められ、副業・兼業を行う人も増えてきている。では、企業側は「従業員が副業を行うこと」をどの程度容認しているのだろうか。クラウドワークスはまず、総務省統計局の「令和3年経済センサス―活動調査」の結果(※)をもとに、全国約508万事業所の「副業容認の状況」を推計した。すると、「副業容認済み」の事業所は250万事業所(49.2%)、「部分的または条件付きで容認済み」は126万事業所(24.7%)となった。これらを合わせると合計376万事業所となり、全体の7割にのぼることがわかった。
企業の副業容認状況
次に、同社が副業ワーカーを採用している企業を対象に「その成果」を尋ねたところ、8割以上が「成果が出た」と回答したという。

そこで同社は、副業ワーカーの採用企業に対し、「成果が出た事例の要因」について聞いた。その結果、「副業ワーカーのスキルが高かった・知見が豊富だった」(59件)や「副業ワーカーのコミュニケーション力が高かった」(45件)、「副業ワーカーの稼働時間が十分だった」(38件)が上位となった。
副業の成果が出た要因

9割が「副業ワーカーの採用継続」を考えている

次に、同社は「今後の副業採用意向」について尋ね、その結果を調査時点での採用状況別にまとめた。「現在も採用している」とした企業の結果に注目すると、「新たに副業ワーカーを採用したい」が26.7%、「副業ワーカーの採用を増やしたい」が24.4%、「現状のままとしたい」が43%となった。調査時点で副業ワーカーを採用している企業では、9割以上が今後も採用の継続や拡大を検討していることが明らかとなった。
今後の副業採用意向

副業経験者の5割は「本業年収400万円未満」。副収入は「本業収入の補填」が目的

次に同社が、個人の副業経験者(826名)の本業年収別に「副業実施割合」を調べている。その結果、最多となったのは「年収400万円未満」で56%が回答し、以降は「400万円以上900万円未満」が29%、「800万円以上1,000万円未満」が11.6%と続いた。

他方で、「年収1,000万円以上」の層における副業実施割合は9.1%(900万円以上1,000万円未満:1.1%、2,000万円以上:8.4%)と低いことがわかった。
副業実施割合(本業の年収別)
最後に、副業を行っている人に「副業する目的」について尋ね、先ほどと同様に本業の年収別に集計した。すると、「年収400万円未満」の層では「副収入(生活費)を得たいから」が38.5%、「副収入(生活費以外)を得たいから」が24.5%となり、合計63%が生活費などの副収入を目的としていることがわかった。副業は、主に本業収入を補填するために行われているようだ。
副業の目的(本業の年収別)
本調査より、副業ワーカーを採用する企業の8割と大半が成果を実感していることがわかった。副業人材を受け入れることで、企業側は豊富なスキル・知見を持った人材の活躍を実感するなど、具体的な成果を感じているケースもあるようだ。また、働く個人においては、副業を行うことで本業以外の副収入が得られるというメリットを感じていることも見て取れる。慢性的に人材が不足している企業では、即戦力の確保の手段として“副業人材の受け入れ”を考えてみるのも有効な手立てとなりそうだ。

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