株式会社Matchbox Technologiesは2022年10月24日、「企業が抱える人材課題 意識調査」の結果を発表した。調査は2022年6月16日~17日に行われ、人事・労務・総務の業務担当者1,075名から回答を得た。これにより、企業が直面している人材不足の実態や、解決に向けて今後試したい人材戦略・人材施策が明らかとなった。
“スキルや経験がある人材の不足”を4社に1社が認識。「OB・OG活用」の有効性を感じつつも半数はタレントプールを実践できず

2割以上が「スキル・経験のある人材の不足」を訴える。業界によって深刻度にも差

はじめに同社は、「現在の勤務先で抱えている人材課題」(※調査時期である2022年6月時点)を複数回答で尋ねている。すると、全体結果の上位は「スキル・経験のある人材の不足」が26.2%、「人材不足」が25.1%、「採用コスト」22.3%、「スキル・経験のある人材の採用」が22.1%となった。

さらに、業界別に見ていくと、全体1位の「スキル・経験のある人材の不足」と回答した人の割合が多いのは「医療・福祉」(38%)や「金融・保険業」、「教育・学習支援業」(ともに33.3%)となった。また、全体2位の「人手不足」については「医療・福祉」(38%)や「建設業」(34.3%)が他と比べて高くなっている。さらに、全体3位の「スキル・経験のある人材の採用」では、「情報処理・情報サービス業」(39.7%)が最も高くなった。仕事をする上での“専門性”が求められる業界では、特に人材が不足していることがうかがえる。
現在の勤務先で抱えている人材課題

経験のある人材を求める傾向から「OB・OGの再活用」に期待

次に、「人材の運用方法のうち、勤務先で実践してみたいと感じた人事戦略」を選択してもらった。その結果、トップは「OB・OGの再活用」で25.3%が回答。以降は、「登録制アルバイトの運用」が22.6%、「現役従業員の柔軟なシフト追加」が18.1%で続いた。一方、「単発バイト・ギグワーカーの活用」は16.7%で下位となった。全体結果のまとめとして、同社は「単発よりもOB・OGや登録制アルバイトなど、継続した経験のある人材に働いてほしい意向が高いのではないか」と推察している。
実践してみたい人材戦略

「OB・OGの活用」が思うように進んでいない理由とは?

続いて、「OB・OGの再活用・再雇用を目的に、過去働いた人や連絡先などをリスト化して貯めているか」と質問した。すると、最も多かったのは「貯めていない」で、52.6%と過半数が回答。一方で、「貯めていて、有効に活用できている」と答えた人は24.1%で、「貯めているが有効活用できていない」が23.3%となった。

「有効活用できていない」もしくは「貯めていない」と回答した人に、それらの理由を聞いたところ、「考えたことがなかった」が37.6%で最も多くなった。以降は、「手間が増えそう」(19.2%)、「社内調整が面倒」(15.3%)、「担当できる人がいない」(15.1%)などの回答が続いた。この実態について、同社は「OB・OGの利用意向が高いにも関わらず、人材データを積極的に活用しようと考えている人は少なく、『手間が増えそう』というイメージから運用が進んでいないのではないか」と推察した。
ダイレクトソーシングという言葉を聞いたことがあるか/活用したいと思うか
本調査では、人事・総務の回答者の4人に1人が、所属先企業での「人材不足」を課題に感じていることがわかった。特に“専門的なスキル”を必要とする業界では、即戦力としての活躍が見込める経験者を求めており、OG・OBへの期待が高いことがわかった。労働人口減少で、今後も人手不足は見込まれることから、対策として退職者を再雇用する「アルムナイ制度」の設置が有効となりそうだ。

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