「オンボーディング」を理解している総務担当者は半数以下に
「オンボーディング」とは、企業が新たに採用した人材を配置し、組織の一員として定着させ戦力化させるまでの一連の受け入れプロセスを意味しているが、人事施策として取り入れている企業はこのオンボーディングをどのように評価しているのだろうか。まず月間総務は、オンボーディングの認知度を調べるため、「オンボーディングという言葉を知っているか」を尋ねた。すると、「よく理解している」が17.9%、「なんとなく理解している」が26.5%で、「理解している」の合計は44.4%だった。「オンボーディング施策への評価」は新卒と比べ中途入社者向けの充実度が低く
続いて、同社は新卒採用をしている企業の担当者に対し、「オンボーディング施策の充実度をどのように評価するか」を質問している。その結果、「とても充実している」(5.7%)と「やや充実している」(41.4%)の合計が47.1%となり、約半数が「充実している」と評価した。また、中途採用を実施している企業に対しても同様の質問をすると、「とても充実している」(4.8%)と「やや充実している」(22.1%)の合計は26.9%だった。中途採用においては、「充実している」と評価する人は3割以下だった。
オンボーディング施策は「入社時の研修」や「OJT」が上位に
次に、「どのようなオンボーディング施策を実施しているか」と尋ねると、全体では「入社時の研修」が82.9%で最も多かった。以下、「OJT」が73.5%、「フォローアップ研修」が59%で続いた。他方で、「上司など受け入れ先に対する教育」は12%にとどまったことから、同社は「現場のフォローまで手が回っていない実情があるのではないか」と推測している。また、回答を「新卒採用あり」と「中途採用あり」に分けると、「新卒採用あり」の企業の方が全体的にオンボーディング機会を多く設けており、特に「入社前研修」については、「新卒採用あり」の企業では40.2%が実施しているのに対し、「中途採用あり」の企業では31.7%と、8.5ポイントの差があった。
「オンボーディングは新卒・中途社員の定着に効果あり」と実感
続いて同社が、新卒採用をしている企業に対して「新卒入社者の定着率をどのように評価するか」と質問すると、「オンボーディングが充実している」とした企業では「とても高い」と「やや高い」の合計が63.4%だった。一方で、「充実していない」とした企業では同合計が50%と、13.4ポイントの差があった。さらに、「とても高い」の回答に注目すると、「オンボーディングが充実している」企業では19.5%だったのに対し、「充実していない」企業では2.2%にとどまり、17.3ポイントの差があった。「オンボーディングが新卒入社者の定着に効果がある」と感じている総務担当者が多いことがうかがえる。
9割以上が「オンボーディングに課題あり」と回答
続いて、「オンボーディングに課題はあるか」を聞くと、「とてもある」と「ややある」が合わせて97.5%だった。オンボーディングを実施する企業の9割以上が、何らかの課題を感じていることがわかった。課題は「実施するためのスキルやノウハウがない」が最多
また、「オンボーディングにどのような課題がありますか」と尋ねたところ、「実施するためのスキルやノウハウがない」が59.6%で最も多かった。以下、「何をすればよいかわからない」が39.5%、「取り組むための時間がない」が37.7%と続いた。フリーコメントからは、「上司との面談を制度化しているが、面談の内容が不十分な上司がいる」や「中途採用の場合、OJTが現場任せになるため、受け入れ部門によってばらつきがある」といった声があがった。