地域の企業や大学とDXの拠点を共創し、地域経済の発展を目指す
素材産業や加工組立産業を中心に発展してきた福岡県北九州市は、現在、環境モデル都市として「グリーン成長戦略」を推進し、環境と経済の好循環による新たな成長を推進している。同市は、「新たな産業やイノベーション創出と脱炭素社会の実現を両立させるためには、産官学の連携および、これらを推進できる人材の育成が不可欠だ」としている。こうした北九州市の取り組みを受け、日本IBMは、地域のDX推進や雇用の創出、企業誘致活動の促進に向け、同市と連携協定を締結した。これに伴い同社は、国内で4ヵ所目の地域のDX推進拠点となる「IBM地域DXセンター」を、2022年11月に北九州市内に新設する。
同センターは、「DX人材の育成」、「イノベーション創出」を地域企業やスタートアップ、大学と産官学で共創する拠点として機能する。このうち「DX人材の育成」については、九州の大学や教育機関、企業、技術者コミュニティと連携して推進するという。この連携において、DXの基礎から実践に必要なスキル等を、同センターの運営主体となる日本IBMデジタルサービス株式会社(以下、IJDS)の実務担当者とのディスカッションを通じて学べる「地域共創DXワークショップ」を実施予定だ。また、社会人のリスキリングと就労を支援するIBMの社会貢献プログラムを活用し、就業機会の提供も推進するという。
さらに同協定に基づき、IJDSはシニア層を含むITエンジニアのキャリア採用枠を拡大する。この中では、働く場所を問わないフルリモートの勤務体系に加え、最大65歳まで働ける人事制度を導入する予定だ。新たな人事制度においては、UターンやIターン、自身や家族の事情と仕事を両立しながら、フレキシブルかつ最大限に能力を発揮できる環境を提供するという。これによりIJDSは、新たな雇用の創出と地域活性化に取り組みたいとしている。
企業の持つ知見を地方課題の解決に向けて活かすことは、企業にとっても、新たなビジネスチャンスや従業員のスキルアップなど、多面的にメリットがあると考えられる。地域の課題解決に協力可能な企業では、自治体や地域の他企業との連携も視野に入れてみてはいかがだろうか。