経済産業省(以下、経産省)は2021年11月12日、「大企業人材等新規事業創造支援事業費補助金(出向起業補助金)」において、新たに創設された6社の“出向起業スタートアップ”への支援を決定したと発表した。本事業は2020年4月より実施しており、これまでにも18社の出向起業スタートアップ創設を促進している。資金の一部を補助することで、今後もスタートアップの創出機会を増やすことが狙いだ。
経産省、スタートアップを支援する「出向企業支援」において6社決定を発表。新規創出機会増加を目指す

企業に勤務する社員の「出向起業」を支援、新規事業の担い手増加へ

多くの人材が大企業に集中している中、企業内で「ゼロから新規事業に挑戦できる環境や機会」は不十分であるのが現状だ。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける状況下では、企業からの新規事業へのリソース投下や、人材個人が辞職して起業することが行いにくくなることが予測される。

これらの状況を踏まえ、経産省では、2020年4月より本事業を開始。本事業は、大企業等の人材が所属企業に在籍したまま、外部資金調達や個人資産の投下等により自ら新規事業を起こし、起業したスタートアップに出向することで発生する費用の一部を補助するものだ。条件は、「新たに創設するスタートアップが、出向元大企業等の子会社等に該当しないこと」などとしている。

2年目となる2021年は、執行団体である一般社団法人社会実装推進センター(JISSUI)を通じ、7月26日から10月1日に2次公募を行った。審査の結果、下記6社を採択し、補助金の交付を決定した。

●株式会社レジリエンスラボ:企業向け非常用燃料・電源等の備蓄シェアリング
●株式会社zooba:クラウドサービスのライセンス一括管理サービス
●株式会社ウィズカンパニー:オンラインパーソナルトレーニングサービスの運営
●株式会社Mobirta:シェアリング・レンタカーの傷を検出証明するセンシングシステム開発
●株式会社Officefaction:オフィスの空きスペースと事業者をつなげるプラットフォーム
●eyeForklift株式会社:製紙産業倉庫等でのフォークリフト作業のIoT化


これにより、昨年度事業および本年7月に採択を行った1次公募と今回の2次公募を合わせ、累計24社の「出向起業」を採択している。支援を実施したスタートアップは、それぞれ事業を継続しており、一部の事業では出向元による買収、および外部資金調達などの事例も生まれつつあるという。本事業を通じて経産省は、新規事業に係る多様な経営人材の育成やイノベーションの促進、大企業等の経営資源の開放に寄与するエコシステム構築の推進を目指したい考えだ。

これまでの企業に籍を置きつつ、スタートアップに挑戦できる環境を整備することで、新規事業の担い手が増える事が期待される。本事業による補助金を適切に利用しつつ、従業員の新たな一歩を支援してみてはいかがだろうか。

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