株式会社タナベ経営は2021年9月14日、「人材採用・育成に関する企業アンケート」の結果を発表した。調査期間は2021年7月20日~31日で、全国の企業経営者、役員、管理職、一般社員394名から回答を得た。その結果、新型コロナウイルス感染症による採用への影響や変化の状況などが明らかとなった。
約7割がコロナ禍でも「従来通り」の採用を実施。新卒採用などの“採用基準”に変化はあるのか

コロナ禍でも人材採用に対する方針に大きな変更はなし

コロナ禍により、採用方法や働き方に変化が見られる中、人材採用の方針に変化はあるのだろうか。

はじめに、「人材採用に対する方針を変更したか」を尋ねた。すると、「従来通りの採用」が69.5%でトップに。約7割が、従来の採用方針を変更していないことが明らかとなった。以下、「新卒採用中心から中途採用中心に切り替えた」(7.4%)、「中途採用中心から新卒採用に切り替えた」(4.7%)などと続いた。
約7割がコロナ禍でも「従来通り」の採用を実施。新卒採用などの“採用基準”に変化はあるのか

「2022年卒の新卒採用予定はない」企業が昨年比で15ポイント以上増加

続いて、「2022年卒の新卒採用の現状」について尋ねた。すると、「採用活動は終了した」が11.7%、「採用活動中」が50%、「採用予定はない」が38.3%だった。2020年の調査と比較すると、「採用予定はない」と回答した企業が15.9ポイント増加している。新型コロナの影響により、新卒採用をストップしている企業が多いことが予測される。
約7割がコロナ禍でも「従来通り」の採用を実施。新卒採用などの“採用基準”に変化はあるのか

「採用基準を変えた」企業は昨年比で大きく減少

また、「採用活動において求める人材像や採用基準」について尋ね、2020年・2019年と比較した。すると、2021年については38%が「求める人材像や採用基準を変える予定はない」と回答した。

他方で、2019年調査では「採用基準を大きく変えた」が6.6%だったのに対し、2020年の同回答は33.1%、2021年の同回答は8.2%となり、この3年で大きく上下していることがわかる。2020年に突然襲ったコロナ禍で採用基準を大きく変えたが、その後は各社が求める新しい人材像が明確になり、基準が改めて定まったと予測される。
約7割がコロナ禍でも「従来通り」の採用を実施。新卒採用などの“採用基準”に変化はあるのか

テレワーク環境下での社内研修制度を強化する企業も多数

続いて、「コロナ禍での育成・研修の実施事項」について尋ねた。すると、「社内研修」が39.6%で最も多く、「通常通り」が31.1%、「外部研修(Web受講)」が31%と続いた。コロナ禍でテレワークが進む中でも、研修は通常通り、もしくは強化している様子がうかがえる。
約7割がコロナ禍でも「従来通り」の採用を実施。新卒採用などの“採用基準”に変化はあるのか

不足人材は「マネージャー(管理職)」、育成したい人材は「中堅・リーダー」

次に、「不足していると感じる人材」について尋ねた。すると、「マネージャー(管理職)」が53.6%でトップに。前年度の同調査でも、半数以上の企業が「マネージャーが不足している」と回答しており、依然として多くの企業の課題になっていることがうかがえる。以下、「専門・技術のスペシャリスト人材」が39.1%、「デジタル活用に携わる人材」が34%と続いた。
約7割がコロナ禍でも「従来通り」の採用を実施。新卒採用などの“採用基準”に変化はあるのか
また、「強化したい階層」について尋ねると、「中堅・リーダー人材」の43.8%が最多となった。そのほか、「若手人材」が25.8%、「管理職人材」が16.8%などと続き、中堅~若手社員の育成を強化したいと考えている企業が多いと予測される。
約7割がコロナ禍でも「従来通り」の採用を実施。新卒採用などの“採用基準”に変化はあるのか
新型コロナの感染拡大により、「求める⼈材像」や「採⽤基準」を⾒直した企業が多くあったが、現在はコロナ禍前の状況に戻りつつあるようだ。採用枠の増加や求める人材の育成に向けて、採用・研修制度の整備を検討してみてはいかがだろうか。

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