エン・ジャパン株式会社は2021年5月20日、ミドル世代に対し実施した「転職軸に関するアンケート」の結果を発表した。調査期間は2021年3月5日~4月29日で、同社のサイトを利用する35歳以上のユーザー633名から回答を得た。これにより、世代ごとの転職に関する意識などが明らかとなった。
30~50代のミドル世代が「転職を考えるきっかけ」は? 世代間の意識の違いが浮き彫りに

「仕事選びの軸」について、30・40代は「給与・待遇のアップ」、50代は「経験・能力が活かせる」

働き方が多様化する現在、人々の「仕事への考え方」はどのように変化しているのだろうか。はじめに「仕事選びの軸は何か」と尋ねたところ、全体の第1位は「給与・待遇のアップ」(51%)、僅差で2位が「経験・能力が活かせる仕事ができる」(50%)、3位が「社風や風土が合う」(39%)となった。

年代別に見てみると、30・40代の1位は「給与・待遇のアップ」(30代:53%、40代:54%)で、50代の1位は「経験・能力が活かせる仕事ができる」(71%)だった。同様に、「希望する仕事に就ける」(全体:31%、30代:28%、40代:29%、50代:41%)と「勤務時間・休日など勤務条件の改善」(同:25%、34%、24%、14%)の2項目も、30代・40代と50代で回答差が見られた。これらの結果をまとめると、30・40代は「待遇や条件」を重視する傾向にあるのに対し、50代は「仕事の内容」を重視する傾向にあることがうかがえる。
転職における仕事選びの軸

約4割が「給与・待遇への不満」と回答。転職を考えるきっかけとは

次に、「転職を考えたきっかけ」を尋ねた。すると、全体で最も多かったのは「給与・待遇への不満」で39%に。次いで「会社方針・事業方針の転換」が28%、「会社の業績悪化にともなう事業の解散・縮小」が25%と続いた。

年代別で差がついたのは「会社の業績悪化にともなう事業の解散・縮小」(30代:20%、40代:25%、50代:31%)と、「労働環境への不満」(同:29%、24%、15%)、「業界自体の先行きへの不安」(同:16%、21%、6%)、「早期退職の募集があった」(同:2%、4%、14%)の4項目だった。仕事選びの軸と同様に、こちらも年代に異なる傾向があることがわかった。
転職を考えるきっかけ

6割が、転職活動中に「働きたいと思う会社との出会い」を経験

また、転職活動中に「この会社で働きたいと思った経験の有無」を尋ねると、全体の60%が「ある」と回答。年代別では30代が60%、40代が57%、50代が69%だった。
働きたいと思える企業との出会いの有無
さらに「その理由」を尋ねると、最も多かったのは「自分自身のキャリアアップが見込めそうだと感じた」で27%となった。年代別に見て差があった項目は「入社後のポストや期待されている役割が明確だった」で、全体が15%、30代が13%、40代が13%、50代が25%だった。50代では、転職先での立ち位置が決定していることが転職の決め手となっているようだ。
働きたいと思った理由

転職活動中の最も大きな不安は「年齢」。全ての年代でトップに

最後に「転職活動を進める上での不安」を尋ねると、全体では78%が「年齢について」と回答。特に40代では80%、50代では92%となった。その他の項目ではほとんどが60%未満にとどまっていることから、40代以上では「年齢」が最も大きな不安要素であることがうかがえる。

その他、年代別で差が見られた項目と割合は「自分の市場価値」(全体:43%、30代:49%、40代:43%、50代:31%)、「次の職場になじめるか」(同:28%、40%、26%、20%)だった。50代と比べ、30・40代では「年齢」以外にも不安要素が多岐にわたることがうかがえる。
転職活動における不安
働き方が多様化し、人材の流動性が増すなか、個々人の転職への意識はさらに高まっているようだ。企業側も求める人材要件を明確にし、この転職市場が活性化しているタイミングを好機として活かしていきたい。

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