「稼げる」よりも重要視していることは?
「新型コロナウイルス感染症流行以前」と「以降」に副業を始めたビジネスパーソンでは、副業に対する考え方が異なるのだろうか。はじめに、「副業検討の際に重要視したこと」を比較したところ、コロナ禍以前に副業を始めた人は、「スキマ時間でできる」が17%、「自分の得意分野」が16.3%、「稼げる」が15.1%だった。
コロナ禍以降に副業を始めた人は、「自分の得意分野」が18%、「興味のある分野」が17.3%、「技術や知識が必要ない」と「スキマ時間でできる」が13.9%で上位だった。また、「稼げる」の割合は、コロナ禍以前に副業を始めた人よりも約10%減少しており、「スキマ時間でできる」も3%ほど減少していた。一方で、自己投資やスキルアップに関する回答の合計は、コロナ禍以前と比較して16.5%増加していることから、コロナ禍以前と以降で副業を始める動機が異なっていることが示唆された。
コロナ禍以降は「人との接触がある業種の副業」は減少
次に、「取り組んでいる副業の内容」を比較。その結果、コロナ禍以前に副業を始めた人は、「作業・事務」が13.3%、「コンサル・講師」が9.1%、「アルバイト」が19.9%と、合計42.3%が“人との接触がある業種”を選択していた。一方、「ライター・ブログ・デザイナー」が11.6%、「せどり・転売・物販」が6.6%、「アンケートモニター・ポイ活」が11.2%と、非接触や場所を問わない業種は29.4%だった。しかし、コロナ禍以降に副業を始めた人は“人との接触がある業種”を選択する人が減り、「作業・事務」が4.5%、「コンサル・講師」が3.6%、「アルバイト」が17.3%で、合計25.4%(16.9%減)という結果に。一方、非接触の業種では、「ライター・ブログ・デザイナー」は10.7%と若干減少したものの、「せどり・転売・物販」が16.4%、「アンケートモニター・ポイ活」が20.9%と増加しており、合計して48%(18.6%増)だった。コロナ禍以降では、非接触や場所を問わない業種を選ぶ人が増えたといえるだろう。
メリットは「新たな時間の活用」
続いて、「副業を始めて感じたメリット」を比較した。すると、「想定していたより稼げた」はコロナ禍以前が22.1%だったものの、コロナ禍以降は15.7%と減少した。「本業にいい影響があった」が6.3%から3%、「人脈が増えた」も12.4%から9.9%となり、減少していることが明らかとなった。一方で、「暇つぶしになった」が21%から25.1%、「趣味ができた」が11.4%から18.5%、「独立の目処が立った」が4.6%から9.1%と、3つの合計が15.7%増加した。コロナ禍以降では、テレワークの普及や外出の自粛により、副業に割ける時間が生まれたビジネスパーソンが一定数いることがうかがえた。
デメリットは「ない」が多いものの、副業による疲労は増加
次は、「副業を始めて感じたデメリット」を比較した。すると、「デメリットはない」がコロナ禍以前は63%だったものの、コロナ禍以降では49.1%で13.9%減少し、デメリットを感じる人は増えていると判明した。「デメリットはない」以外の回答で目立ったのは、「プライベート時間(自由時間)が減った」や「心身の疲労」で、副業を始めたことが自由な時間の減少や疲労につながっているようだ。
コロナ禍以降では副業収入「3万円以上10万円以下」が1割増
最後に、「副業で得ている収入(月収)」を比較した。コロナ禍以前では「1万円以上3万円未満」が27.2%、「1円以上1万円未満」が23.4%、「5万円以上10万円未満」が16%だった。一方で、コロナ禍以降では「1万円以上3万円未満」が24.6%と1位は変わらないものの、以下、「3万円以上5万円未満」と「5万円以上10万円未満」が21.3%、「1円以上1万円未満」が14.7%という結果に。コロナ禍以降に副業を開始したビジネスパーソンの方が、副業による収入が多い傾向にあることが明らかとなった。
また、10万円以上の副業収入を得ているビジネスパーソンの回答割合に、大きな変化は見られなかった。