さまざまなライフイベントをサポートする新たな人事制度の内容とは
10Xは、スーパーマーケットやドラッグストアといった「多店舗運営(チェーンストア)」を展開する小売・流通事業者を対象に、ECやドライブスルー等便利な顧客体験の実現および、それを実現するサプライチェーン構築を支えるプラットフォームを展開。また、事業を通じて小売・流通業界のDXを推進している。同社は、小売・流通業界は「誰かの家庭を支えるインフラの仕事」という認識のもと、これを支える社員に対しては「仕事に情熱を持っているからこそ、社員自身の家庭やプライベートの時間を大事にしてほしい」と考えているという。さらに、小売・流通業界のDXは長期的な視点で挑戦を続けることが必要だ。そのため、事業と組織が持続的に成長を続けていくために、早期から社員の生活を支える制度を整えるべく、今回の制定に至ったという。そこで同社は、以下の4つを軸とする新たな人事制度を導入した。
(1)産前・産後のサポート
パートナーの出産前後の5日間、「出産サポート休暇」として特別有給休暇を付与。また、出産前後の一時的なキャッシュフローを支援するため、最大70万円の「産前・出産・育児サポート金」を支給する。
(2)育児のサポート
社員の子どもが認可保育園に入園できなかった場合、「認可外保育園利用サポート金」として認可保育園との差額保育料を補助。病児保育を利用する際の金額については「病児保育利用サポート金」を支給する。また、子どもの看護で休暇を取得する場合、「病児看護サポート休暇」として5日間の特別有給休暇を付与する。
(3)介護のサポート
家族の介護のための休暇取得の場合、「介護サポート休暇」として5日間の特別有給休暇を付与。介護休業取得時には30万円の「介護休暇サポート金」を支給する。
(4)病気のサポート
社員が体調不良で休暇を取得する場合、「病気休暇(Sick Leave)」として5日間の特別有給休暇を付与する。
これにより、社員の病気・出産・育児・介護などのライフイベントによって発生する「働きたいのに働けないという状態」や「働けなくなるかもしれないという不安」を取り除く考えだ。また、政府は「2025年までに男性育休取得率を30%にする」との目標を設置しているが、10Xはこれまでも男性社員の育休取得を推奨、育休取得率は100%で、現在も男性社員3名が6ヵ月の育休を取得している実績がある。さらに、子育て中の社員が約半数という状況から、リモートワークやデジタルツールの活用、ドキュメントの整備・ストック化などにより個人の負担を軽減し、働きやすい環境づくりを推進しているという。今回の新制度の制定に合わせ、男性の「出生時育休」の取得や育休の分割取得にも対応していきたい考えだ。
さまざまなライフイベントにより勤務状況が変わるとしても、それに対応するサポート体制が整っていれば、社員も長期的に安心して働けるかもしれない。これまでの制度における視点や発想を変え、自社でも新たな人事制度の導入を検討してみてはいかがだろうか。