複業への関心度が高い一方、普及促進に向けた課題も
働き方改革の一環として、2018年1月に開始された複業の解禁から2年以上が経過した。しかし、現在も複業を認めていない、あるいは制度として導入したにも関わらず、活用が進まない企業が多数存在しており、社会全体としても複業促進には課題があるのが現状だ。この背景には、さまざまな要因があり、企業からも「長時間労働を助長するのではないか」、「判断基準がわからない」など、懸念点の声もあがっている。また、労働者側からは「興味はあるが何をしてよいのかわからない」、「企業から認めてもらえるか不安」といった声もあるという。
一方で、パーソルP&Tの働き方改革専門家集団である、ワークスイッチコンサルティングが今年3月に発表した「副業の潜在ニースに関する意識調査」によると、複業に興味を持つ人は全体の過半数を超える64.3%だった(すぐにでもしたい:24.5%、いずれしたい39.8%)。特に20代では7割近くの人が「すぐにでもしたい」と回答しており、関心の高さがうかがえる。
「複業促進モデル実証プロジェクト」により企業・社員への効果を測定
このような中、パーソルグループではかねてより多様な働き方の推進と多彩なキャリアパス支援に取り組んでおり、その一つとして「複業」制度を導入。今後も社会全体の複業を促進することで、企業の持続的な変革と次世代の育成に繋げたいとして、「複業促進モデル実証プロジェクト」の発足に至った。同社が開発を進める企業向け複業促進サービスは、社員の複業の後押しや効果を可視化するもの。これにより企業と従業員双方の不安や懸念点を解消し、さらなる複業促進をはかることを目的としている。本プロジェクトでは、複業の促進や活用において課題を抱える企業を対象に、同サービスを提供。企業・社員にとっていかに有益な活動ができるかの効果実証を、共同で行うという。
なお、本プロジェクトへの募集条件は、「社員の成長をはかるために副業促進を検討していること」、「従業員数が300名以上であること」としている。応募期間は2020年6月2日~26日、実証プロジェクトの実施期間は2020年7月1日~9月30日を予定している。
多様な働き方の導入やキャリアパス構築を背景として複業制度が解禁されたが、労働者の関心は高いものの、思うように導入が進まないのが現状のようだ。今後企業は、より複業のメリットに目を向け、「従業員の成長」と「自社の発展の機会」という視点で、導入を進めることが必要となりそうだ。