「70歳まで働ける社会」の実現に向け、高まるシニア世代の活躍支援
企業に対して、70歳までの就業機会の確保を努力義務とする「改正高年齢者雇用安定法」が2020年3月に可決。2021年4月施行に向け、高齢者雇用の仕組みの見直しや働きやすい環境整備が必要とされている。また、多くの大企業ではバブル期の大量採用を要因とした総額人件費の増大が近年大きな課題となっている。このような状況のなか、少子高齢化や労働人口の減少による人手不足を背景とし、定年延長や再雇用制度の導入など、シニア世代の活躍推進に向けた動きが拡大。シニア世代の支援ニーズの高まりを受け、ライフワークスでは2019年10月に日清食品ホールディングス、三井不動産を始めとする大手4社とともにワーキンググループを発足した。今回、ワーキング活動を終えた集大成として、70歳就業社会を見据えた3つの提言の発表に至った。
「場づくり」と「後押し」からシニアのキャリアアップを推進
本提言には、企業で取り組むべきシニア世代の活躍支援策として以下の内容が盛り込まれた。1.将来に危機感を持ちながらも目の前の仕事に追われ、自ら行動できないシニア社員に照準を定めて施策を講じる。
2.社内外で活躍できる「場づくり」、行動を実行に移すための「後押し」の2つの観点から施策を構築する。
3.今後シニア期を迎える年代層にも本施策を展開し、活躍の幅を全世代に広げる。
具体的施策としては、職域開発や在籍出向などの活躍機会の創出、キャリア研修の実施や自己啓発支援といったサポート体制の強化などが示された。これを通じ、シニア層の視野や行動を社内外へと広げ、自身のライフキャリアプランに向けた活動を促すとしている。
また、この取り組みに参画した日清食品では、上司および同僚によるサポート体制の構築や成果や能力に応じた人事制度への改定を、また三井不動産では、シニア社員のキャリア充実を目的とした人事制度やキャリアコンサルティング等を構築・実践することを公表している。
シニア雇用における課題や目指すべき姿は企業ごとに異なるなか、自社にとって最善の策を検討し、実践する行動力は今後の社会変革のためにも必要となるだろう。